住宅ローン滞納と差し押さえ

差し押さえは解除できる?自宅を差し押さえられた場合の対処法

差し押さえは解除できる?自宅を差し押さえられた場合の対処法

差し押さえ通知が届いた場合でも、差し押さえを解除する方法はあります。

差し押さえ通知が届いた時点で、財産が既に法的に拘束されており、放置すれば競売などによる強制的な売却へと移行するリスクが差し迫っていきます。

この記事では、差し押さえの現状から、その解除に向けた具体的な要件や方法を解説します。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

差し押さえとは

差し押さえ(差押え)とは、債務者(お金を借りた側や税金を滞納している側)が、借金や税金などの債務(支払い義務)を履行しない場合に、債権者(お金を貸した金融機関や税金を徴収する国税局や税務署など)が、裁判所などの公的機関を通じて、債務者の財産を強制的に確保し、自由に処分できない状態にするための法的手続きです。

その主な目的は、債権者が滞納された債権を強制的に回収することにあります。

差し押さえられた財産は、原則として所有者の意思で売却したり、誰かに譲ったり、担保に入れたりすることができなくなり、最終的には換価(現金化)されて債務の返済に充てられます。

差し押さえの対象となる財産は多岐にわたりますが、一般的には以下のものが挙げられます。

差し押さえの対象となる財産 詳細
動産 債務者が所有する現金、預貯金、有価証券、貴金属、骨董品、家電製品、自動車など。
ただし、生活に必要不可欠な家具や衣類などは差し押さえが禁止されています(差押禁止財産)。
債権 債務者が第三者に対して持っている権利を指します。
最も一般的なのは、預貯金口座(銀行などへの預金債権)や給与(勤務先への給与債権)です。
その他、家賃収入や貸付金なども対象となり得ます。
不動産 債務者が所有する土地、建物、マンション、アパートなどです。
自宅が差し押さえられると、生活の拠点である自宅を失う可能性があります。

これらの財産が差し押さえられると、債務者はその財産を自由に扱うことができなくなり、生活や事業に大きな支障をきたすことになります。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

差し押さえを解除できる要件

一度差し押さえられてしまった財産を解除することは不可能ではありませんが、その条件は限られています。

最も確実な方法は債務の完済ですが、それ以外にも可能性はあります。

滞納している債務を「全額弁済」する

差し押さえを解除する最も直接的で確実な方法は、滞納している債務の全額を支払うこと(全額弁済)です。

ここでいう「全額」とは、元金だけでなく、発生している利息、遅延損害金、そして差し押さえ手続きにかかった費用(執行費用など)のすべてを含みます。

債務が全額弁済されれば、差し押さえの理由がなくなるため、債権者は差し押さえを取り下げる義務が生じます。

債権者との合意による解除

全額を一度に支払うのが難しい場合でも、差し押さえの解除が全く不可能というわけではありません。

滞納者自身が、債権者と交渉し、合意に至れば、差し押さえを解除してもらえる可能性があります。

一括での返済が困難な場合に、無理のない範囲での分割払いを提案し、債権者がこれに応じれば、差し押さえを解除してもらえることがあります。

この際、今後の返済計画を具体的に示し、支払う意思があることを明確に伝えることが重要です。

差し押さえを解除してもらうために、まずは一部を支払い、残りの支払いについて猶予や分割払いの交渉をするケースもあります。

債権者には、分割払いや差し押さえの解除に応じる法的な義務はありません。

あくまで交渉であり、債権者が「全額回収の確実性が高い」と判断した場合にのみ応じてくれる可能性が高いです。

また、複数の債権者がいる場合は、原則として全ての債権者の合意が必要となるため、交渉はさらに複雑になります。

その他、例外的な解除要件

非常に稀なケースですが、以下のような場合にも差し押さえが解除されることがあります。

差し押さえの手続き自体に、法律に違反する不備や誤りがあった場合です。

これは専門的な判断が必要であり、弁護士などに相談して指摘する必要があります。

差し押さえの原因となる債務自体が、すでに完済されていたり、そもそも存在しなかったりすることが判明した場合です。これも誤った差し押さえにあたるため、証明できれば解除されます。

自己破産手続きにおいて、特定の条件下では差し押さえが停止・解除されることがあります。

しかし、これは原則として財産を換価・配当する前提の手続きであり、単純な解除とは意味合いが異なります。

自己破産は最終手段であり、弁護士との十分な相談が必要です。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

差し押さえを解除する7つの方法

差し押さえを解除するためには、主に以下7つの方法があります。

  1. 債務の全額弁済
  2. 債権者との和解交渉
  3. 不服申立制度の活用
  4. 差押禁止債権の範囲変更の申立て
  5. 自己破産
  6. 個人再生
  7. 任意売却(不動産)

①債務を全額弁済する

債務の全額返済は、差し押さえを解除する最も確実で直接的な方法です。

差し押さえの原因となっている借金や税金、延滞金、そして差し押さえにかかった費用など、関連する全ての債務を滞りなく支払うことで、債権者(お金を請求する側)は差し押さえを取り下げる義務を負います。

支払いが確認され次第、債権者は裁判所や行政機関に申し出て、差し押さえ登記の抹消などの手続きを進めます。

全額を支払うことができれば、確実に財産の制限が解除されます。

②債権者と交渉する

全額をすぐに支払うのが難しい場合でも、債権者との直接交渉によって和解を目指すことができます。

現在の経済状況(収入や支出)を正直に伝え、現実的に支払える分割払いの計画などを提案しましょう。

債権者がその提案に同意すれば、差し押さえを解除してくれる可能性があります。

ただし、債権者には同意する義務はなく、交渉は困難な場合も多いため、弁護士などの代理人を立てる方が交渉がスムーズに進む可能性が高いです。

③不服申し立てを行う

差し押さえ手続き自体に法的な不備や誤りがあると考えられる場合に利用できる制度です。

例えば、既に支払い済みの債務に対して誤って差し押さえが行われた場合や、手続き上の重大な瑕疵(かし)があった場合などが該当します。

これは非常に稀なケースですが、差し押さえを行った行政庁(税務署や自治体など)や裁判所に対し、異議を申し立てることができます。

この制度の利用には専門的な知識が必要なため、弁護士や司法書士に相談することが不可欠です。

④差押禁止債権の範囲変更の申し立てを行う

給与や預貯金が差し押さえられた際に、それが最低限の生活を維持するために必要不可欠な範囲である場合に利用できる手続きです。

例えば、給与の手取り額の4分の1(またはそれ以上)が差し押さえられた結果、生活が困難になる場合に、裁判所に対し、差し押さえの範囲を生活に必要な部分まで減らすよう申し立てることができます。

これにより、差し押さえの全額解除ではありませんが、生活に必要な資金を確保し、生活破綻を防ぐことが可能になります。

⑤自己破産

自己破産は、裁判所を通じて全ての債務(借金)の支払い義務を免除してもらう法的な手続きです。

自己破産の手続きが開始されると、原則として差し押さえは中止され、その後、破産手続きの中で差し押さえが解除されます。

しかし、その代償として、所有する財産(自宅や車など)は、生活に必要な最低限のものを除いて換価(現金化)され、債権者に分配されることになります。

自宅などの財産を失うことにはなりますが、借金問題の根本的な解決と生活の再建を図ることができます。

⑥個人再生

個人再生も自己破産と同様に、裁判所を通じて行う債務整理手続きの一つです。

この制度は、債務(借金)を大幅に減額してもらい、原則として自宅(住宅ローン)を残しながら、残りの債務を分割で返済していくことを目指します。

手続き開始決定が出ると、差し押さえは中止され、再生計画が裁判所に認可されれば、差し押さえが解除される可能性があります。

住宅ローン特則を利用することで自宅を守りつつ、他の債務整理を進めたい場合に有効な選択肢となりますが、安定した収入があることなど、利用できる要件が定められています。

⑦任意売却(不動産)

任意売却は不動産が差し押さえられている場合に、競売(けいばい)を回避し、差し押さえを解除するための有効な手段です。

これは、債権者(金融機関や保証会社など)の同意を得て、担保になっている不動産を市場価格に近い価格で売却し、その代金で債務を返済する手続きです。

競売よりも高値で売れる可能性が高く、残債務(売却後も残る借金)を多く減らせます。

売却後、債権者が合意すれば差し押さえが取り下げられ、差し押さえの登記も抹消されます。

任意売却については、次の章で詳しく解説します。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

任意売却で差し押さえは解除できる?

任意売却をすることで、差し押さえを解除することは可能です。

任意売却とは、債権者(住宅ローン会社や保証会社、税務署など、差し押さえをしている側)の合意を得て、担保になっている不動産を市場に近い価格で売却することです。

その売却代金で債務を返済し、差し押さえを解除してもらうことを目的とします。

競売のように裁判所が主導して強制的に売却されるのではなく、売主と買主、そして債権者の間で合意が形成され、通常の不動産売買に近い形で手続きが進められます。

差し押さえられた不動産を売却するには、その差し押さえを解除してもらう必要がありますが、任意売却はこの「売却代金で債務を清算する」という条件を提示することで、債権者に差し押さえの解除に同意してもらう仕組みです。

ただし、任意売却は、債権者との複雑な交渉や法的な手続きを伴うため、専門的な知識と経験が不可欠です。

まず、不動産に複数の抵当権者や差し押さえをしている債権者がいる場合、その全員の同意を得る必要があります。

また、競売手続きが進行している場合は、競売の開札日までに任意売却を完了させる必要があるため、時間との勝負になります。早めの相談が何よりも重要です。

任意売却を成功させるためには、任意売却を専門とする不動産業者や、債務整理に強い弁護士など専門家のサポートが必須です。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

まとめ

差し押さえの通知は、ご自身の財産が法的に拘束されたことを意味し、放置すれば競売などによる強制的な売却へと直結します。

しかし、この深刻な状況でも、決して打つ手がないわけではありません。本記事で解説したように、差し押さえを解除するための要件や方法は確かに存在します。

最も重要なのは、通知を受け取った時点で「もう終わりだ」と諦めず、迅速に、そして適切に行動を起こすことです。

全額弁済はもちろん、債権者との交渉、法的な不服申立て、債務整理、そして不動産が差し押さえられた場合の任意売却など、状況に応じた様々な解決策があります。

センチュリー21中央プロパティーでは、差押予告通知書が届き、自宅が差し押さえられそうになった場合でも、任意売却により生活再建のサポートが可能です。

債務整理に強い弁護士が、圧倒的な交渉力で、期限までに確実な任意売却を実現しあなたの生活再建をサポートします。

弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。自宅の差し押さえでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫

競売・住宅ローンのお悩み、
ご相談ください。
お電話でのお問い合わせ