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リースバックとリバースモーゲージ

リバースモーゲージの【返済方法】生存中と死亡後の違いを比較

リバースモーゲージの【返済方法】生存中と死亡後の違いを比較

「リバースモーゲージは、家を担保にお金を受け取れて、返済は不要なんでしょ?」

そう思っていませんか?実は、リバースモーゲージは「元金」の返済が生存中は不要なだけで、「返済が一切ない」わけではありません。

多くのケースで毎月の利息支払いは発生しますし、契約者が亡くなった後には、相続人が自宅を売却するなどして借入金を一括返済する必要があります。

この記事では、リバースモーゲージの仕組みを正しく理解し、「生存中の返済(支払い)方法」と「契約者死亡後の返済方法」の具体的な違いを徹底的に解説します。

リバースモーゲージは返済不要はウソ?

リバースモーゲージは、自宅を担保にお金を借り入れ、契約者が生きている間は元金の返済はせず、亡くなった後に自宅を売却するなどして一括で返済する、高齢者向けの金融サービスです。

リバースモーゲージが「返済不要」と言われるのは、「生存中は毎月の元金返済が不要」だからです。

しかし、「返済が一切ない」わけではありません。ここに多くの人が誤解しやすいポイントがあります。

ほとんどのリバースモーゲージでは、借り入れた金額に対して毎月「利息」の支払いが発生します。

つまり、「返済不要」という言葉は、「生きている間は、借りたお金の本体(元金)を毎月返す必要がない」という意味であり、利息の支払いは発生する、あるいは最終的にまとめて支払う必要があるという点を理解しておくことが非常に重要です。

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【生存中】リバースモーゲージの3つの返済方法

リバースモーゲージの生存中の支払い方法は、主に以下の3つのパターンに分けられます。

パターン1:毎月の利息のみを支払うケース

これは最も一般的なリバースモーゲージの返済(支払い)パターンです。

借り入れた元金に対して発生する利息分のみを毎月、金融機関に支払います。元金自体は契約期間中、返済せずに済みます。

メリット

  • 毎月の支払い負担が元金分ないため、通常の住宅ローンに比べて家計の負担が大幅に少ないです。
  • 年金収入が主な方でも、無理なく利息分を支払えるよう設計されていることが多いです。

デメリット

  • 利息の支払いは継続するため、毎月の支出がゼロになるわけではありません。
  • 金利が変動するタイプ(変動金利型)の場合、金利が上昇すると毎月の利息支払い額も増えるリスクがあります。

こんな人におすすめ

  • 毎月ある程度の年金収入があり、利息分の支払いは継続できる方。
  • 手元資金を減らさずに、生活費や医療費などに充てたい方。

パターン2:利息も元金も生存中は支払わないケース(最終清算型)

一部の金融機関で提供されているタイプで、毎月の支払いを完全にゼロにしたい場合に選択されます。

毎月の利息も支払わず、元金と利息のすべてを契約終了時(契約者の死亡時など)に一括で清算します。

メリット

  • 生存中の毎月の支払い負担が一切ありません。生活費のすべてを借り入れた資金でやりくりしたい場合に特に有効です。
  • 年金収入が少ない、あるいは不定期な方でも利用しやすいです。

デメリット

  • 毎月の利息分が借入元金に上乗せされていくため、最終的な借入残高が大きく膨らむ可能性があります。
  • 結果として、最終的な自宅の売却価格で借入金を返しきれない「オーバーローン」のリスクが高まる可能性も考慮する必要があります(ただし、多くのリバースモーゲージはオーバーローンになっても相続人に返済義務が生じない「ノンリコース型」です)。

こんな人におすすめ

  • 年金収入が少なく、毎月の利息支払いも難しい方。
  • 手元に現金を残したい、またはすべてを生活資金に充てたい方。

パターン3:資金使途に合わせたその他の支払い形態(年金受取型など)

上記2つの基本パターンに加え、リバースモーゲージは資金の受け取り方によっても支払い形態のニュアンスが変わってきます。

年金受取型毎月一定額を年金のように受け取るタイプ。
支払いも毎月行われますが、受け取る資金から充当される形となるため、実際に手元からお金が出ていく感覚が少ないかもしれません。
一括受取型契約時にまとまった資金を一括で受け取るタイプ。
その後の利息支払いは、パターン1やパターン2の考え方に準じます。
当座貸越型必要に応じて随時借り入れができるタイプ。
借り入れた額に対して利息が発生するため、利用しない限り利息はかかりません。

これらの受け取り方と、利息の支払いパターンが組み合わさって、具体的な生存中の支払い内容が決まります。

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【死亡後】リバースモーゲージの3つの返済方法

契約者が亡くなった後のリバースモーゲージの返済方法は、主に以下の3つです。

方法1:自宅を売却して一括返済する

これがリバースモーゲージの最も一般的な最終清算方法です。

金融機関との契約に基づき、担保となっていた自宅を売却し、その売却代金で借入残高(元金と未払い利息の合計)を一括で返済します。

メリット

  • 相続人が自己資金を用意する必要がないため、経済的な負担をかけずに済みます。
  • 多くのリバースモーゲージは「ノンリコース型」であり、自宅の売却価格が借入残高を下回った場合(オーバーローンになった場合)でも、相続人が不足分を返済する義務はありません。これは、相続人にとって大きな安心材料です。

デメリット

  • 自宅が売却されるため、相続人がその家に住み続けることはできません。
  • 不動産の売却には時間と手間がかかります。また、売却時期の市場状況によっては、希望通りの価格で売却できない可能性もあります。

こんなケースで利用される

自宅を相続する予定の家族がいない場合や、相続人が自宅の維持管理を望まない場合、または自己資金での返済が困難な場合。

方法2:相続人が自己資金で一括返済する

自宅を売却せずに、相続人が引き継ぎたい場合に選ばれる方法です。

相続人が自身の貯蓄など、自己資金で借入残高を一括で金融機関に返済します。返済が完了すれば、自宅の担保設定が解除され、相続人が名実ともに自宅を所有できます。

メリット

  • 思い出のある自宅を家族が引き継ぎ、住み続けることができます。
  • 売却手続きにかかる時間や手間、費用を回避できます。

デメリット

  • 相続人に、まとまった自己資金があることが前提となります。高額な借入残高がある場合は、負担が大きくなります。
  • 返済が困難な場合、結果的に自宅を売却せざるを得なくなる可能性もあります。

こんなケースで利用される

相続人が自宅をぜひ残したいと強く希望している場合や、十分な貯蓄があり一括返済が可能な場合。

方法3:別の不動産を担保に借り換える(ケースは稀)

非常に特殊なケースですが、状況によっては検討される可能性があります。

相続人がすでに別の不動産を所有しており、それを新たな担保として、リバースモーゲージの借入金を別のローンとして借り換えるという方法です。

メリット

自宅を売却せずに済み、かつ自己資金を使わずに解決できる可能性があります。

デメリット 

別の不動産を担保にするため、その不動産に新たな制約が生じます。

また、この方法に対応する金融機関は限られており、審査基準も厳しいため、現実的には選択肢となるケースは非常に稀です。

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リバースモーゲージ:死亡後に相続人がすべき手続きと事前準備

リバースモーゲージは、契約者ご本人の老後の生活を支える便利な制度ですが、契約者が亡くなった後には、遺された相続人が「自宅の売却」または「一括返済」といった重要な手続きを行う必要があります。

相続人が戸惑わず、スムーズに対応できるよう、事前に準備すべきことと、死亡後の手続きの流れを解説します。

相続人がすべき手続き:死亡後の流れ

契約者が亡くなった場合、相続人は以下のステップでリバースモーゲージの返済手続きを進めます。

ステップ1 金融機関への連絡

契約者が亡くなったことを、できるだけ速やかにリバースモーゲージ契約をしている金融機関に連絡します。

この際、契約者の氏名、契約番号、死亡年月日などを伝えます。

ステップ2 必要書類の提出

金融機関から、契約者の死亡を証明する書類(死亡診断書や戸籍謄本など)、相続関係を証明する書類(戸籍謄本、住民票など)、相続人全員の印鑑証明書や本人確認書類などの提出を求められます。

指示された書類を速やかに準備し、提出しましょう。

ステップ3 返済方法の決定

相続人全員で話し合い、以下のいずれかの返済方法を決定します。

方法①:担保の自宅を売却して一括返済

最も一般的な方法です。金融機関と連携し、不動産会社を選定して売却を進めます。

売却代金で借入残高(元金+未払い利息)を清算します。多くのリバースモーゲージは、自宅売却額が借入残高を下回っても相続人に返済義務が生じない「ノンリコース型」です。

方法②:相続人が自己資金で一括返済

相続人が自宅を残したい場合、自身の貯蓄などから借入残高を一括で返済します。

返済が完了すれば、自宅の担保設定が解除され、相続人のものになります。

非常にまれなケースですが、相続人が別の不動産を所有しており、それを担保に新たなローンを組んで返済する方法もあります。

ステップ4 返済の実行

決定した方法で、金融機関へ借入金を返済します。自宅売却の場合は決済と同時に清算が行われ、自己資金の場合は振込などで返済します。

ステップ5 契約の終了と担保の抹消

返済が完了すると、リバースモーゲージ契約は正式に終了し、自宅に設定されていた担保(抵当権)が抹消されます。

相続人が戸惑わないための事前準備:生前にできること

リバースモーゲージは、ご本人が亡くなった後、遺族が手続きを行う必要があります。家族が困らずスムーズに対応できるよう、生前から以下の準備をしておきましょう。

家族との情報共有

リバースモーゲージを契約している場合、生前に以下について家族と情報共有をしておくことが大切です。

  • 契約金融機関と連絡先:
    どの金融機関と契約しているのか、担当部署や連絡先(電話番号、担当者名など)を具体的な情報として共有しておきます。
  • 契約書・関連書類の保管場所:
    リバースモーゲージの契約書、借入明細、支払い履歴、その他重要書類の保管場所を家族に知らせておきましょう。
  • 概算の借入残高:
    定期的に金融機関から送られてくる借入残高の案内や、ご自身で把握している概算の残高を伝えておくと、家族が状況を把握しやすくなります。最終的に自宅を売却して清算する際に、どの程度の金額が必要になるかの目安を家族が事前に理解できるためです。

ご自身の意向を明確にする

死亡後に自宅を売却して借入金を清算したいのか、家族に買い取って住み続けてほしいのかなど、ご自身の希望を明確に伝えましょう。家族が返済方法を決定する際、故人の意向を尊重し、迷わず選択できるようにするためです。

必要であれば、弁護士や税理士などの専門家を交えて、家族で事前に話し合っておくと安心です。専門家からの客観的なアドバイスにより、家族間の認識のズレを防ぎ、トラブルを未然に防ぐことができます。

物件評価額と借入残高の定期的な確認

自宅の評価額と借入残高を定期的に比較し、オーバーローンになるリスクを把握します。これにより、資金計画の見直しや対策を講じる時期を判断できます。

万が一、自宅の価値より借入額が多くなった場合に、家族が予想外の負担を負う事態を避け、早めに具体的な対策(例:一部繰り上げ返済、リースバックへの切り替え検討など)を講じるためです。

契約内容の再確認

特に、オーバーローン時の対応(ノンリコース型か)、死亡後の返済期限や猶予期間、手続きの流れなど、契約書に明記されている重要事項を家族にも共有しておきましょう。

期限を過ぎると自宅が競売にかけられるなど、家族にとって不利な状況になる可能性があるため、重要な期日や条件を事前に知っておく必要があります。

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リバースモーゲージの「返済」を正しく理解し、安心して老後を送るために

リバースモーゲージは、自宅を資産として活用し、ゆとりのある老後を送るための強力な選択肢です。

しかし、「返済不要」という言葉の裏にある、生存中の利息支払い義務や、ご逝去後のご家族による一括返済の必要性を正しく理解することが何よりも重要です。

リバースモーゲージの検討を進める中で、ご自身の状況がこの制度に本当に適しているのか、あるいは他の選択肢はないのか、といった疑問や不安を感じることもあるかもしれません。

特に、住宅ローンの返済に不安がある、あるいはその他の複雑な事情を抱えている場合、一人で悩まずに専門家の意見を聞くことが大切です。

センチュリー21中央プロパティーには、債務整理に強い常駐の社内弁護士が在籍しており、お客様の状況に応じた最適な解決策を、専門的な視点から提案してくれます。これにより、ご自宅の最適な活用方法だけでなく、もしもの際に懸念される住宅ローン問題など、多角的なアドバイスを得られるでしょう。

ご相談費用や売却に伴う仲介手数料がかからないケースも多いため、まずは気軽に話を聞いてみることから始めてみてはいかがでしょうか。専門家と共に、あなたの老後とご家族の安心をサポートする最善策を見つけてください。

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