離婚は、人生における大きな転機の一つです。特に、住宅ローンが残っている不動産を所有している場合、その扱いは深刻な問題となり得ます。
「住宅ローンだけが残って、住む場所もお金もない…」そんな状況に陥ってしまう前に、賢く解決する方法を知っておくことが大切です。
この記事では、離婚後の住宅ローン問題に悩む方に向けて、競売回避の有効な選択肢である任意売却を提案します。
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目次
オーバーローンでも離婚時に任意売却できる?
結論から言うと、オーバーローン状態でも離婚時に任意売却は可能です。
オーバーローンとは、住宅ローンの残債が、不動産の市場価値を上回っている状態のことです。
例えば、ローン残債が3,000万円あるのに対し、家の市場価値が2,500万円しかないようなケースを指します。
通常、不動産を売却する際には、その売却代金でローンを完済しなければなりません。
しかし、オーバーローンの場合は売却代金だけではローンを完済できないため、通常の売却はできません。
そこで、この問題を解決する手段として「任意売却」が選択肢となります。
任意売却がオーバーローンでも可能な理由
任意売却は、債権者(金融機関など)の合意を得て行う売却方法です。
債権者も、競売で不動産を売却するよりも、任意売却の方がより多くの債権を回収できる可能性が高いことを理解しています。
競売は、市場価格の5〜7割程度でしか売れないことが多いためです。
そのため、債権者にとって任意売却に応じるメリットは大きく、適切に交渉を進めれば、オーバーローンであっても売却を許可してくれるケースも多くあります。
離婚時の任意売却とは
離婚時の任意売却とは、夫婦共有名義またはどちらかの名義になっている不動産について、住宅ローンの残債が残っている状態で、債権者(金融機関など)の合意を得て任意で売却する方法です。
通常の不動産売却と同様に市場価格での売却を目指すため、競売に比べて売却価格が低くなるのを避け、残債を減らすことができます。
また、プライバシーが保護されやすく、引越し時期も調整しやすいといったメリットがあります。
しかし、任意売却は債権者との交渉が必要であり、期限内に売却を完了させる必要があるなど、専門的な知識と手続きが求められます。
離婚に伴い住宅ローンの支払いが困難になったり、連帯保証人から外れたいといった場合に、有効な選択肢となり得ます。
離婚後のよくある住宅ローン問題
離婚後、住宅ローンが残った家に住み続ける場合、様々な問題が発生する可能性があります。
ここでは、特に注意すべき点を解説します。
オーバーローンの問題
「オーバーローン」とは、住宅ローンの残債が、不動産の現在の市場価値を上回っている状態を指します。
離婚時に家を売却しようとしても、売却代金だけではローンを完済できず、自己資金で不足分を補う必要があります。
離婚後の生活で新たに家を借りる、あるいは購入するにも、この残債が大きな足かせとなります。
連帯保証人と連帯債務者の問題
住宅ローンを夫婦で組む場合、「連帯保証人」あるいは「連帯債務者」となるケースが多くあります。
- 連帯保証人
主債務者がローンを支払えなくなった場合、代わりに返済する義務を負います。
離婚後もこの立場は自動的に解消されず、元配偶者がローンを滞納すると、ご自身に返済義務が生じます。 - 連帯債務者
夫婦がともに主債務者となり、それぞれがローンの全額について返済義務を負います。
離婚後も双方が返済義務を負い続けるため、トラブルの元になりがちです。
離婚後、元の配偶者が支払いを滞納した場合、金融機関から一括での返済を求められることもあります。
名義変更の問題
離婚後、住宅ローンの名義を夫婦のどちらか一方に一本化したいと考える方もいますが、名義変更は簡単ではありません。
- 金融機関の審査
名義変更には、金融機関の審査を通過する必要があります。
名義を引き継ぐ側の返済能力が十分にないと判断された場合、承認されないことがほとんどです。 - 財産分与と贈与税
名義変更によって財産分与とみなされない場合、贈与税が発生する可能性があります。
税理士などの専門家へ相談し、慎重に進める必要があります。
離婚時に任意売却をした方が良いケース
離婚時に任意売却を検討すべきケースは、主に以下の2つが挙げられます。
- 住宅ローンの残債が払えない場合
- 連帯保証人から外れたい場合
1. 住宅ローンの残債が払えない場合
離婚に伴い、夫婦共同で購入した不動産の住宅ローンが残るケースは少なくありません。
離婚後の経済状況によっては、住宅ローンの支払いが困難になる場合があります。
特に、以下のような状況では、任意売却を検討する必要があります。
- 住宅ローンの残債が、不動産の市場価格を上回る「オーバーローン」の状態である。
- 離婚後の収入が減少し、住宅ローンの支払いが困難になる。
- どちらか一方が連帯保証人になっている場合、相手の支払いが滞ると、自身に支払い義務が生じる。
任意売却は、競売よりも市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、残債を減らすことができます。
また、金融機関との交渉により、残債の返済計画について柔軟な対応が期待できる場合もあります。
住宅ローンの支払いが滞ると、最終的には競売にかけられ、より低い価格で売却される可能性があります。
経済的な負担を最小限に抑えるためにも、早めに任意売却を検討することが重要です。
2. 連帯保証人から外れたい場合
住宅ローンを契約する際、夫婦のどちらかが連帯保証人になっているケースがあります。
離婚後も連帯保証人のままでは、相手が住宅ローンを滞納した場合、自身に支払い義務が生じます。
連帯保証人は、離婚しても自動的に外れるわけではありません。
金融機関の承認を得て連帯保証人を外すには、通常、以下のいずれかの方法が必要です。
- 住宅ローンを完済する。
- 新たな連帯保証人を立てる。
- 住宅ローンの借り換えを行う。
しかし、これらの方法は現実的に難しい場合が多く、連帯保証人のまま離婚するケースが少なくありません。
任意売却が難しい、または推奨されないケース
任意売却は多くのメリットがありますが、すべてのケースで有効とは限りません。
以下のような場合は、任意売却の承認が得られにくい、または他の解決策を検討すべき場合があります。
ローンを組んでからの期間が浅い場合
住宅ローンを組んでから間もない時期に任意売却を希望しても、債権者である金融機関から承認を得られないことがあります。
借り入れ後すぐに売却を希望する正当な理由を明確に提示できない場合、金融機関に不正な目的と疑われる可能性があるためです。
ただし、専門家による適切なサポートを受ければ、任意売却が可能な場合もあります。
複数の債権者がいる場合
複数の金融機関から融資を受けている場合など、複数の債権者がいる場合は、すべての債権者から合意を得る必要があります。
債権者間の利害が対立し、交渉が難航するケースが少なくありません。
このようなケースでは、債権者の交渉実績が豊富な任意売却専門業者を選ぶことが大切です。
離婚における任意売却のメリット
離婚における任意売却のメリットは、以下の通りです。
- 市場相場に近い価格で売却できる
- 周囲に知られずに売却活動ができる
- 売却条件の柔軟性が高い
市場相場に近い価格で売却できる
競売では市場価格よりも大幅に低い価格で売却されることが一般的ですが、任意売却では市場相場に近い価格での売却が可能です。
任意売却は競売と比較して、住宅ローンの残債を少しでも多く返済できるため、離婚後の経済的負担を軽減できます。
周囲に知られずに売却活動ができる
競売は公開情報となるため、周囲に知られるリスクがありますが、任意売却は通常の不動産売却と同様に、比較的プライバシーを保護しながら進めることができます。
離婚というセンシティブな状況において、この点は大きなメリットとなります。
売却条件の柔軟性が高い
任意売却では、売却価格から仲介手数料や弁護士費用などの諸費用を支払うことが可能です。
そのため、自己資金の持ち出しを抑えられるメリットがあります。
また、債権者との協議により、売却時期や引っ越し時期を調整できる余地もあります。
競売と比較して、売主の要望を聞いて貰いやすく、離婚手続きのタイミングに合わせて、計画的に売却を進めることが可能です。
離婚時の任意売却のデメリットと注意点
離婚時の任意売却のデメリットと注意点は、以下の通りです。
- 個人の信用情報への影響
- 任意売却には債権者の同意が必要
任意売却は、競売を回避し、より良い条件で不動産を売却できる一方で、注意点(デメリット)もあります。
離婚時の任意売却を検討する際には、慎重な判断が必要です。
個人の信用情報への影響
任意売却は、金融機関(債権者)が住宅ローンを滞納中であることを前提に合意するケースが多く、その過程で「住宅ローン滞納」という事実が信用情報機関に記録される可能性があります。
この記録は、将来の信用取引に影響を及ぼし、新たなクレジットカードの発行や、住宅ローンを含む各種ローンの借入れが一定期間(一般的に5年~10年)制限されることがあります。
離婚後の生活設計において、資金調達が必要となる場面を想定し、信用情報への影響を十分に考慮する必要があります。
連帯保証人の同意の必要性
任意売却では、住宅ローンを借り入れている金融機関(債権者)との交渉と承諾が不可欠となります。債権者にこの同意を得なければ任意売却を進めることができません。
また、住宅ローン契約において、夫婦のどちらかが連帯保証人になっている場合、任意売却を行うには、連帯保証人の同意を得る必要もあります。
離婚後、元配偶者と連絡を取り、同意を得ることは、精神的な負担となる場合があります。
特に、離婚後の関係性が悪化している場合には、交渉が難航し元配偶者からの協力を得られない可能性も考慮しておく必要があります。
任意売却にかかる費用
任意売却にかかる費用は、主に以下があります。
- 仲介手数料
- 税金(譲渡所得税など)
- その他費用(引越し費用、弁護士費用など)
任意売却を行う際の主な費用について解説します。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼した場合に発生する手数料です。
宅地建物取引業法で上限が定められており、売買価格に応じて計算されます。
一般的には、売買価格の3% + 6万円 + 消費税が上限となります。
任意売却の場合も、通常の売却と同様に不動産仲介業者への仲介手数料が発生しますが、不動産会社によっては、任意売却の事情を考慮して、手数料の減額などに応じてくれる場合もあります。
税金
任意売却で発生する税金は、譲渡所得税・住民税、登録免許税です。
譲渡所得税・住民税
不動産の売却によって利益(譲渡所得)が出た場合に課税される税金です。
譲渡所得は、売却価格から取得費(購入価格や購入時の諸費用など)と譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いて計算されます。
※居住用財産の場合、3,000万円の特別控除などの特例が利用できる場合があります。
任意売却の場合でも、譲渡所得が出れば、原則として譲渡所得税・住民税が課税されますが、特例の適用を受けられるかどうかは、個々の状況によって異なります。
登録免許税
抵当権抹消登記など、不動産登記手続きを行う際に発生する税金です。
任意売却の場合、抵当権を抹消する必要があるため、登録免許税を含む抵当権抹消手続きの費用が発生します。
その他費用
任意売却でかかるその他の費用には、
- 引っ越し費用
- 弁護士費用・司法書士費用
- 滞納している税金や管理費・修繕積立費
などがあります。
弁護士や司法書士に相談や登記の手続きを依頼した場合は、報酬料がかかります。
任意売却の場合、売却代金からこれらの費用を支払うことができる場合がありますが、事前に不動産会社や債権者に確認することが重要です。
税金については、税理士などの専門家に相談し、正確な金額を把握しておくことをお勧めします。
任意売却に加えて知っておきたい選択肢:リースバック
リースバックとは、自宅を売却後も買主と賃貸契約を結び、そのまま住み続ける方法です。
引越しや転校が不要なため、子どもの環境を変えたくない場合に適しています。
所有権は失うものの、住み慣れた家で生活を続けられる点が大きな特徴です。
離婚時の任意売却でよくある質問
Q.離婚後の住宅ローン残債は、どちらが負担するのでしょうか?
A.住宅ローンの名義や連帯保証人の有無、財産分与の割合などによって異なります。基本的には、住宅ローン名義人が支払いの義務を負いますが、離婚協議で取り決めを行うことも可能です。
Q.任意売却をする場合、離婚前と離婚後どちらが良いのでしょうか?
A.離婚前に任意売却をする場合、財産分与が贈与とみなされ、贈与税が課税される可能性があります。そのため、基本的には離婚後の任意売却が推奨されます。
ただし、ケースによっては離婚前の売却が有利になる場合もあるため、専門家への相談をおすすめします。
Q.任意売却後の残債はどうなりますか?
A.任意売却によって住宅ローンを完済できなかった場合、残債は残ります。残債については、金融機関と協議し、分割返済などの計画を立てる必要があります。
Q.任意売却の手続きや交渉は、自分たちでも可能ですか?
A.任意売却は、金融機関との交渉や専門的な知識が必要となるため、不動産会社や弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
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離婚時の不動産売却は、住宅ローン、財産分与、そして離婚後の生活設計と深く関わる複雑な問題です。
任意売却は、競売を避け、市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、プライバシー保護や引越し時期の調整など、多くのメリットがあります。
しかし、債権者との交渉や専門知識が必要となるため、不動産業者のサポートが不可欠です。
センチュリー21中央プロパティーには、離婚時の任意売却に関する豊富な経験と専門知識を有する社内弁護士が常駐しています。お客様の状況を丁寧にヒアリングしながら、複雑な手続きや交渉も、専門スタッフが親身に対応し、最適な売却プランをご提案いたします。
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