都心部を中心に人気の高いマンションの不動産投資ですが、計画通りに収益が上がらず、不動産投資ローンの返済が困難になるケースも少なくありません。
そのような場合に、有効な手段となるのが「任意売却」です。
この記事では、不動産投資用マンションの任意売却について、その流れや相談先、実行後の注意点について詳しく解説していきます。
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目次
不動産投資用マンションが維持できなくなるケースは多い
不動産投資用マンションが維持できなくなる主なケースとして、次の3つが挙げられます。
- 不動産投資ローンの返済が厳しい
- 維持・管理費用と税金の負担
- 空室の発生や家賃下落による減収
不動産投資ローンの返済が厳しい
1つ目は、高金利なローンの返済額が家賃収入を圧迫するケースです。
多くの場合、投資用のマンションは「不動産投資ローン(=家賃収入を得るための事業向けのローン)」を組んで購入しますが、この不動産投資ローンは一般的な住宅ローンに比べて金利が高く設定される傾向にあります。
また、不動産投資ローンでは「変動金利」が採用されている場合が多く、経済情勢の変化により金利が上昇すれば毎月の返済額も増加します。
このような背景から、家賃収入だけではローンの返済が追いつかず、毎月給与から不足分を補填せざるを得なくなり、マンションの維持が難しくなるのです。
維持・管理費用と税金の負担
2つ目は、維持管理に伴う費用が負担になるケースです。
投資用にマンションを所有している限り、たとえ空室であっても維持管理や税金などの費用が発生し続けます。
▼投資用マンションの所有に伴う費用
- 管理費・修繕積立金
マンションの共用部分の維持や将来の大規模修繕のために毎月支払う費用。 - 修繕・原状回復費用
入居者が退去した後のクリーニングやリフォーム費用、突発的な設備(エアコン、給湯器など)の故障の修理費用など。 - 固定資産税・都市計画税
毎年1月1日時点の所有者に課税される税金。
こうしたランニングコストが家賃収入を圧迫し、収支が赤字になるケースは珍しくありません。
空室の発生や家賃下落による減収
3つ目は、空室や家賃下落に伴い収入が減少するケースです。
これらはマンション不動産投資における代表的なリスクであり、見込んでいた利益が得られないために不動産投資ローンの返済困窮に直結します。
▼投資用マンションに減収をもたらす2つの原因
- 空室リスク
入居者の退去後、次の入居者が決まるまでの期間は家賃収入がゼロになるほか、この間にも維持費・税金のコストが発生し続ける。 - 家賃下落リスク
築年数の経過とともに家賃も下落していくのが一般的で、近隣に新しい競合物件が建てばいっそうの家賃引き下げが必要になることも。
物件の購入時、これらのリスクに対する想定が甘かった場合は、収入の減少によってローン返済に困窮し、物件の維持が困難になってしまうのです。
不動産投資用マンションのローンが払えないとどうなる?
不動産投資ローンの返済を滞納し続けると、最終的に物件は「競売」にかけられてしまいます。
競売に至るまでの大まかな流れは以下の通りです。
- 督促とブラックリスト入り(滞納1~2ヶ月)
金融機関から電話や書面による厳しい督促が始まる。滞納が2ヶ月を超えたあたりで個人信用情報機関に事故情報(いわゆるブラックリスト)として登録され、新たなクレジットカード作成や融資が不可能になる。 - 期限の利益の喪失と「家賃差し押さえ」(滞納3ヶ月~)
「期限の利益喪失通知書」が届き、ローン残高の一括返済を請求される。また、債権者によっては「家賃の差し押さえ」を行うケースがあり、この場合はオーナーへの家賃の入金がストップするだけでなく、入居者にもトラブルが知れ渡り、退去につながる恐れがある。 - 競売開始決定通知
以降も滞納を続けていると、債権者が裁判所に競売の申し立てを行い、これが認められると競売の手続きが進んで物件が差し押さえられる。 - 現況調査・入札・開札
裁判所の執行官による現地調査が行われ、物件情報がインターネットや新聞で一般公開される。その後、入札期間を経て開札が行われ、最高額を入札した者が物件を落札する。
上記の流れは住宅ローンでもほぼ同じですが、不動産投資ローンの場合は借入先の金融機関もビジネスとしてシビアに判断するため、住宅ローン滞納で競売に至るケースに比べて時間的な猶予が短いことが特徴です。
なお、競売で得た代金はローン残高の支払いに充てられますが、競売の落札価格は市場価格の5~7割程度にしかならないため、ローン完済まで至らないことが一般的です。
そのため、不動産投資ローンの支払いが滞った結果、マンションを失うだけでなく借金だけが残るというケースも決して珍しくありません。
不動産投資用マンションは任意売却できる
競売を避け、より有利な条件で問題を解決するために有効な手段となるのが任意売却です。
以下の2つの視点から、任意売却について解説していきます。
- そもそも任意売却とは?
- 任意売却の流れは?
そもそも任意売却とは?
任意売却とは、ローン返済が困難になった不動産を、債権者(保証会社)の合意を得た上で通常の不動産売買と同じように市場で売却する方法です。
この任意売却は、自宅だけでなく不動産投資用のマンションにも利用できます。
任意売却と競売との違いは、以下の表の通りです。
| 競売 | 任意売却 | |
| 売却価格 | 市場価格の5割~7割 | 市場価格に近い金額 |
| 退去 | 強制的に退去の必要あり | 買主との交渉次第で引っ越しまでの猶予ができる |
| プライバシー | ✕(競売物件のサイトに掲載される) | 〇(周囲の人に知られにくい) |
| 残りのローンの支払 | 原則的に一括請求 | 分割の交渉が可能 |
このように、任意売却は競売と比べて金額や残りのローンの支払いなどの面でメリットの大きい方法です。
そのため、投資用マンションのローン返済が厳しくなった場合、競売に至る前に必ず検討・実行したい解決方法といえます。
任意売却の流れは?
投資用マンションの任意売却を行う流れは、以下の通りです。
- 専門家への相談・査定
任意売却を専門に扱う不動産会社に相談し、物件の価格査定とローン残高の確認を行う。 - 債権者(金融機関・保証会社)との交渉
依頼した不動産業者から債権者に対し、任意売却の申し入れを行い、売却金額や諸経費など販売価格の配分案(配当表)を提示する。 - 媒介契約の締結
債権者の同意が得られたら、正式に不動産会社と媒介契約(売却活動を依頼する契約)を結ぶ。 - 売却活動の開始
不動産会社が売却に向けて顧客を探す。投資用物件の場合、多くは「オーナーチェンジ物件(入居者がいる状態での売却)」として売り出される。 - 売買契約の締結
不動産会社が見つけた購入希望者に条件交渉を行い、価格や引き渡し時期などに合意したら、再度債権者の最終同意を得た上で売買契約を締結する。 - 決済・引き渡し
買主から売買代金を受け取り、その代金でローンの一部を返済する。同時に物件の所有権を買主に移転し、引き渡しが完了する。
なお、すでに競売の手続きが進んでいる場合、上記の流れは全て「競売の開札日の前日」までに終わらせなければなりません。
そのため、相談の時点から可能な限り迅速に行うことを心がけましょう。
不動産投資用マンションの任意売却は誰に相談する?
任意売却は通常の不動産売却とは異なり、先述の通り専門的な知識や交渉スキルが必要とされる売却方法といえます。
債権者本人はもちろん、通常の居住用不動産のみを取り扱っている業者では対応も対応しきれないことが一般的です。
そのため、投資用マンションの任意売却を検討している場合は、通常の不動産業者ではなく「任意売却を専門に取り扱う不動産業者」に相談しましょう。
▼任意売却専門の不動産会社を選ぶポイント
- 任意売却の取扱実績が豊富で、公式サイトやSNSなどで確認できる
…任意売却を成功させる多くのノウハウを持っている - 社内に弁護士が在籍しており交渉力が高い
…債権者との交渉や売却後の債務整理などを全て任せられる - 口コミサイトやSNSなどのコメント数が多く評判も良い
…実際に任意売却でサポートを受けた人が多く満足度も高い
これらの点に注目して業者を選ぶことで、任意売却がスムーズに成立する可能性が高まります。
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不動産投資用マンションを任意売却した後の注意点
不動産投資用マンションを任意売却した後は、以下の3点に注意しましょう。
- 不動産投資ローン残債務の返済計画
- 入居者への説明や対応
- その後の資金の借り入れが困難になる可能性
注意点①不動産投資ローン残債務の返済計画
競売よりは多くの残債務を減らせるものの、任意売却でもその代金だけでは不動産投資ローンを完済するには至らないケースが大半です。
そして、その残債務の支払い義務は依然なくなることはありません。
この残債務の返済計画については、あらためて債権者と話し合う必要がありますが、この段階で残債務の一括返済を求められることは少なく、現実的には現在の収入や生活状況を加味した上での「分割払い」の交渉になることが一般的です。
ただし、任意売却の実績が豊富な不動産会社であれば、売却活動と並行して無理のない分割での返済計画に着地できるよう、債権者との間に入って調整やサポートを行ってくれます。
注意点②入居者への説明や対応
投資用マンションの任意売却を行った場合、入居者は新しいオーナー(買主)と改めて賃貸借契約を結び直す(あるいは旧契約を引き継ぐ)だけで、そのまま住み続けることができます。
ただし、買主が「自分で住みたい」などの理由で空室での引き渡しを希望する場合や物件の状況によっては、入居者に退去交渉が必要になるケースもあります。
その場合は、立退料の支払いなどが発生する可能性があり、その費用についても債権者との交渉が必要になります。
注意点③その後の資金の借り入れが困難になる可能性
任意売却を行った場合、ほとんどのケースで信用情報機関に事故情報として登録されています(ブラックリスト入り)。
任意売却自体がブラックリスト入りの条件ではないのですが、3ヶ月以上のローン滞納の結果として任意売却に至ることが多いため、結果としてほとんどのケースで「延滞」の事故情報として登録されることになるのです。
一度ブラックリストに入ると、一般的に完済後または契約終了後5年~10年程度は新たなローンが組めず、クレジットカードの作成も難しくなるなどのリスクが生じる点には注意が必要です。
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まとめ
不動産投資用マンションのローンを滞納し続けると、最終的には競売となり、多額の借金だけが残ってしまいます。
そうなる前に、競売に比べてローンの残債務を大きく減らせる任意売却を検討・実行することを強くおすすめします。
任意売却は、競売に比べてローン残債務を大きく減らせるだけでなく、プライバシーを守りながら手続きを進められるのが大きなメリットです。
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