シングルマザーが住宅ローンを支払う場合、離婚による収入の減少や元夫の支払い滞納など、様々な原因で返済が困難になることがあります。
こうした場合、いずれ家が競売にかかる可能性が高いため、早急に手を打つことが重要です。
この記事では、シングルマザーの方が住宅ローンの返済に困ったときの具体的な対処法について、詳しく解説していきます。
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シングルマザーが住宅ローンの返済に困るケース
シングルマザーが住宅ローンの返済に困る原因は、大きく次の2つに分けられます。
- 離婚により収入が減少したケース
- 離婚した夫が住宅ローンを支払わないケース
①離婚により収入が減少したケース
最も多いのが、離婚によって世帯収入が大幅に減少するケースです。
結婚当時は夫婦二人の収入を前提にローンを組んでいても、離婚後はご自身の収入のみで家計を支えなければなりません。
また、離婚前に専業主婦やパートタイムで働いていた方の場合、すぐに十分な収入を得るのが難しいことや、育児との両立で働き方が制限される可能性もあります。
こうした要因が重なり、元夫からの養育費やご自身の収入だけでは月々の住宅ローン返済を返すのが難しくなるのです。
②離婚した夫が住宅ローンを支払わないケース
離婚の際に、「住宅ローンは夫(元夫)が支払い続ける」という取り決めをしたにもかかわらず、その約束が守られない場合は重大な問題に発展します。
元夫が住宅ローンを滞納し続けると、元夫本人が住んでいる・いないに関わらず家が差し押さえの対象となってしまうのです。
また、元妻が元夫の連帯保証人となっていた場合はさらに深刻で、元夫がローンを支払えないときには元妻のほうに法的な支払い義務が移ります。
いずれにしても、離婚当初の取り決めに従わず元夫がローンを返済できず、代わってシングルマザーとなった元妻が支払わざるを得なくなったことで困窮するケースもしばしば見られます。
住宅ローンを払えなくなった場合はどうなる?
住宅ローンが払えなくなった場合、以下のステップに沿って家から立ち退きを求められてしまいます。
- 滞納が始まり金融機関から督促が届く(滞納1ヶ月~3ヶ月)
- 滞納を繰り返すことでローンの分割払いができなくなる(滞納3ヶ月~6ヶ月)
- 裁判所の手続きにより住宅が競売にかけられる
- 住宅が落札された後に退去を命じられる
①滞納が始まり金融機関から督促が届く(滞納1ヶ月~3ヶ月)
住宅ローンの滞納が始まると(滞納1ヶ月目~)、金融機関から電話での返済催促や郵送の督促状などが届くようになります。
1回程度の滞納では金融機関に理由を説明し、早急に支払いをすれば大きな問題にはなりません。
しかし、その間の「遅延損害金」は日割りで発生するため注意が必要です。
②滞納を繰り返すことでローンの分割払いができなくなる(滞納3ヶ月~6ヶ月)
督促を放置して滞納を続けていると(一般的に滞納3ヶ月~6ヶ月程度)、金融機関との契約に基づいてローンを分割払いする権利が失われ、残りのローン全額を一括請求されてしまいます。
数千万円単位のローン全額を一括で返せる人はほぼいないため、この段階を迎えてしまうと実質的に家を維持することは不可能になります。
③裁判所の手続きにより住宅が競売にかけられる
一括返済ができないまま時間が経つと、債権者である金融機関が債権を回収するために家を担保として差し押さえ、裁判所に「競売」を申し立てます。
競売は、裁判所の手続きに基づいて法的な強制力を持った「オークション形式の売却」です。
競売の手続きが進むと、裁判所の調査官などが自宅に現況調査に訪れて撮影などが行われ、さらにインターネット上で物件情報が公開されます。
④住宅が落札された後に退去を命じられる
競売により家の落札者が決まると、その人が代金を支払った段階で所有権も落札者のものとなり、もとの居住者はその家からの立ち退きを求められてしまいます。
そのまま退去しない場合は、強制執行により家から追い出されることになるのです。
競売で得た代金はローンの返済に充てられるものの、それでも足りない場合は残りの金額を一括請求されることもあるため留意しましょう。
シングルマザーが住宅ローンの返済に困ったときの対処法
住宅ローンの返済が困難になった場合は、決して一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で行動を起こすことが重要です。
以下で、シングルマザーが住宅ローンの返済に困った場合の対処法として、7つの手段をご紹介していきます。
- 金融機関へ返済計画の変更(リスケジュール)を相談する
- 転職や副業などで収入を増やす
- 公的な補助や手当の利用を確認・検討する
- 児童扶養手当
- 親族間売買
- リースバック
- 個人再生
- 【最終手段】任意売却を検討する
①金融機関へ返済計画の変更(リスケジュール)を相談する
真っ先に行いたいのが、金融機関への返済計画変更(リスケジュール)の相談です。
金融機関としても進んで家を競売にかけたいわけではないため、正直に現状を話して対応を求めることで、以下のようなリスケジュールに応じてくれる可能性があります。
▼リスケジュールの具体例
- 返済期間の延長
残りの返済期間を延ばすことで月々の返済額を減らす(ただし総支払利息額は増える) - 一定期間の返済額減額(元金据え置き)
一定の間利息のみの支払いにしてもらう(ただし元金が減らないため、据え置き期間の終了後は負担が増える可能性あり)
滞納が始まった後でなく、「返済が厳しい」と予見した段階で早めに相談するのがベストです。
②転職や副業などで収入を増やす
根本的な解決策として、収入を増やす努力も必要になります。
子育てとの両立は非常に大変ですが、より条件の良い職への転職、資格取得によるキャリアアップ、または在宅でできる副業(クラウドソーシング、内職など)を探すことも選択肢にいれて行動してみましょう。
ただし、無理をして体調を崩してしまっては元も子もないため、公的な支援なども活用しながら、ご自身のキャパシティの範囲内で収入アップを目指すことが大切です。
③公的な補助や手当の利用を確認・検討する
シングルマザーの生活や子育てを支えるために、以下の通り複数の補助や手当が存在します。
- 児童扶養手当
- 児童手当
- ひとり親控除
- 住宅ローン控除
これらを活用することで、家計の負担を軽減できる可能性があります。
児童扶養手当
児童扶養手当は、ひとり親家庭などを対象に支給される手当です。
子どもの年齢や人数、ご自身の所得によって支給額が変動(または支給停止)するため、お住まいの市区町村の窓口で確認し、まだ申請していない場合は速やかに手続きをしましょう。
児童手当
中学校卒業までの児童を養育している人に支給される手当です。
これも所得制限がありますが、家計の助けとなる制度です。離婚後、受給者を元夫からご自身へ変更する手続きが必要な場合もあります。
ひとり親控除
ひとり親控除は、ひとり親(婚姻歴の有無は問わない)かつ一定の要件を満たす場合に受けられる所得控除です。
年末調整や確定申告で申請することで、所得税や住民税の負担が軽減されます。
住宅ローン控除
シングルマザーには限りませんが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、年末時点のローン残高に応じて、一定期間、所得税などから控除を受けられる制度です。
離婚後もご自身が名義人であり、引き続き居住しているなどの要件を満たせば適用を受けられる可能性があるため、手元に残るお金が増える可能性が出てきます。
④親族間売買
ご自身の親や兄弟姉妹に経済的な余裕がある場合、「親族間売買」も有効な手段になり得ます。
親族間売買は、ご自身の名義になっている自宅を親族に買い取ってもらう方法です。
売却によって得た資金で、住宅ローンを一括返済します。
売却後も親族の合意が得られれば、家賃を支払う形でそのまま住み続けることができる可能性があります。
また、第三者に売却するよりも精神的なハードルが低い点も大きなメリットです。
ただし、金融機関側で住宅ローンを認めないことも多いため、専門の不動産会社など専門家への相談が重要になります。
⑤リースバック
「リースバック」は、自宅を不動産会社や投資家などの第三者に売却し、同時にその売却先と賃貸借契約を結ぶことで、売却後も家賃を払いながら同じ家に住み続けることができる方法です。
▼リースバックのメリット
- 売却代金で住宅ローンを完済できる
- 引っ越し不要(子どもの学区変更などをせず住み続けられる)
▼リースバックのデメリット
- 家の所有権を失うため自分の資産ではなくなる。
- 毎月の家賃が発生する(ローンの返済額より高くなる場合あり)
- 将来的に買い戻す「買戻し特約」を付けることも可能だが、売却価格よりも割高になることが多い
リースバックは便利な仕組みですが、業者によっては家の売却価格がローン残高を上回ることが条件となっているなど、ローン返済に苦しむ誰もが利用できるわけではありません。
メリット・デメリットを踏まえ、専門の業者に可否の判断を依頼してみましょう。
⑥個人再生
他の借金(カードローンやキャッシングなど)も抱えており、住宅ローン返済が困難になっている場合、「個人再生」という法的な債務整理手続きが有効な場合があります。
個人再生には「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」という制度があり、これを利用すると、住宅ローン以外の借金を大幅に減額しつつ、自宅は手放さずに住宅ローンの返済を継続できる可能性があります。
しかし、利用には裁判所の認可が必要であり、安定した収入があることなど、いくつかの条件があります。
また、そもそも住宅ローン自体が減免される手段ではないので、こちらも弁護士や司法書士などの専門家への相談は必須です。
⑦【最終手段】任意売却を検討する
リスケジュールや他の方法でも返済の目処が立たず、「このままでは競売になってしまう」という場合に検討したいのが「任意売却」です。
任意売却とは、金融機関(債権者)の合意を得たうえ、自分自身の意思で自宅を売却する方法です。
住宅ローンが残っている(オーバーローン)状態でも、金融機関の許可を得て売却を進めます。
家を売るという一点においては競売と同じですが、以下の通り任意売却には競売にはないメリットが複数存在します。
▼競売と任意売却の比較
| 競売 | 任意売却 | |
| 売却価格 | 市場価格の5割~7割 | 市場価格に近い金額 |
| 退去 | 強制的に退去の必要あり | 買主との交渉次第で引っ越しまでの猶予ができる |
| プライバシー | ✕(競売物件のサイトに掲載される) | 〇(周囲の人に知られにくい) |
| 引っ越し費用 | 全て自己負担 | 交渉可能(売却代金から捻出できる可能性あり) |
| 残りのローンの支払 | 原則的に一括請求 | 分割の交渉が可能 |
ただし、任意売却は「競売開札日の前日」までに売買契約を成立させて代金決済まで終える必要があるため、可能な限り日数に余裕を持って進めることが重要です。
まとめ
シングルマザーの方が住宅ローンで困ったとき、最も避けるべきは「誰にも相談せずに問題を放置し、滞納を続けてしまう」ことです。
返済が苦しいと感じ始めたらすぐ、住宅ローンを借りている金融機関に相談しましょう。
また、公的な支援制度の活用や親族への相談、あるいはリースバックなどの対処法も視野に入れて行動されることをおすすめします。
それでも返済が難しい場合は、「任意売却」による解決を検討してみてください。
家を売ることにはなりますが、新しい生活への基盤を作りながら住宅ローン問題を解決するという意味で、間違いなく有効な手段となり得ます。
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弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。大切な子育ての最中に住宅ローンでお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。