連帯保証人は単なる「保証人」とは異なり、契約者本人と全く同等の返済義務を負う存在です。
この記事では、住宅ローンの滞納が連帯保証人に及ぼす影響や滞納後の流れ、そして最悪の事態を避けるための対処法までを詳しく解説していきます。
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目次
住宅ローンにおける連帯保証人とは?
連帯保証人とは、債務者(契約者本人)が返済できなくなった場合に、代わりに返済義務を負う人のことです。
「連帯保証人」ではなく一般的な「保証人」であれば、「まず本人に請求してほしい(催告の抗弁権)」「まず本人の財産を差し押さえてほしい(検索の抗弁権)」といった主張をする権利が認められています。
しかし、連帯保証人にはこれらの権利が一切認められていません。
つまり、金融機関が連帯保証人に返済を請求した場合、その連帯保証人は請求された全額を直ちに支払わなければならないということです。
また、場合によっては連帯保証人の財産も差し押さえ対象になります。
つまり、連帯保証人は金融機関にとって契約者本人と同じもう一人の債務者といえる存在なのです。
住宅ローンで連帯保証人を立てる具体的なケース
現在、住宅ローンでは滞った返済を担保するための「保証会社」を利用するため、連帯保証人が不要なケースも増えています。
しかし、以下のような場合には依然として連帯保証人を求められることが一般的です。
- ペアローンや収入合算でローンを組む場合
夫婦や親子で収入を合算する際、お互いが連帯保証人になるケース - 共有名義で不動産を購入する場合
物件を共有名義にする際、一方が主債務者、もう一方が連帯保証人となるケース - 契約者本人の信用情報や収入に不安がある場合
契約者単独では審査が通りにくい時、安定収入のある親族などを連帯保証人として立てるケース - 土地の所有者が契約者と異なる場合
親の土地に子供が家を建てる場合、土地所有者である親が連帯保証人になるケース
とくに、夫婦での収入合算やペアローンで連帯保証人を立てるケースの場合、離婚後の支払いでトラブルになる事例も多く見られます。
契約者が住宅ローンを滞納したら連帯保証人はどうなる?
契約者本人が住宅ローンの返済を滞納し始めた場合、連帯保証人にはさまざまな不利益が生じます。
契約者本人が滞納した場合に連帯保証人が陥る事態について、次の6つのステップに沿って解説していきます。
- 連帯保証人に支払い義務が生じる
- 金融機関から一括返済を求められる
- 信用情報への影響(ブラックリスト入り)
- 担保物件(契約者本人の家)が競売にかけられる
- 連帯保証人の財産が差し押さえられ競売にかけられる
- 契約者本人が自己破産した場合でも責任は残る
①連帯保証人に支払い義務が生じる
滞納が1~3ヶ月程度続くと、まず契約者本人に督促が行われます。
しかし、それ以降も返済が行われない場合、金融機関は連帯保証人に対して「契約者が滞納しているので、代わりに支払ってください」と督促や催促を始めます。
先述の通り、連帯保証人はこの請求を法的に拒否できず、連帯保証人自身が滞納分と遅延損害金を支払う義務を負います。
②金融機関から一括返済を求められる
契約者本人も連帯保証人もローンを支払えない状態が続くと(滞納3~6ヶ月程度)、金融機関は双方に「期限の利益の喪失」を通知してきます。
期限の利益とは、「ローンを契約期間で分割して返済できる権利」のことです。
つまり期限の利益喪失とは、今後はもう分割支払が認められず、残りのローン全額を一括請求されることを意味します。
数千万円にも上る金額を一括返済できるケースはまずあり得ないため、この段階を迎えたら契約者本人が今後も家を維持するのは実質的に不可能になります。
③信用情報への影響(ブラックリスト入り)
上記の通り、滞納3ヶ月目を超えると期限の利益を喪失してしまいますが、このタイミングで契約者本人・連帯保証人ともに信用情報機関に事故情報として登録されてしまいます。
いわゆる「ブラックリスト入り」です。
この状態になると、その後5~10年間は新しいローンを組むことができなくなり、またクレジットカードの作成や携帯電話の契約なども難しくなるなど、実生活に大きな制限がかかってしまいます。
④担保物件(契約者本人の家)が競売にかけられる
双方とも一括返済に応じられない場合、金融機関は担保としている不動産(契約者本人が購入した家と土地)を強制的に売却する手続きに入ります。これが「競売」です。
金融機関が裁判所に申し立てることで、裁判所の権限により物件が差し押さえられ、物件情報が公開された後に入札で購入者が決まります。
⑤連帯保証人の財産が差し押さえられ競売にかけられる
担保となっていた契約者本人の家が競売により売却されると、その代金はローン残高の返済に充てられます。
しかしそれでも足りない場合は、連帯保証人の財産(給与、預貯金、不動産、車など)も差し押さえ・競売の対象となってしまいます。
こうして連帯保証人は、契約者本人のローン滞納により、あらゆる財産を失うことになるのです。
⑥契約者本人が自己破産した場合でも責任は残る
契約者本人が、自己破産による借金の免除を受けた場合でも、「連帯保証人が住宅ローン残債務を支払う」という責任はそのまま残ります。
連帯保証人が安定した収入を持っていれば、債権者と残りのローンの支払いについて契約を結び直し、分割払いが認められる場合もありますが、多くの場合は一括請求です。
しかし、数千万円にものぼる住宅ローン残債務を支払えるケースはほとんどないため、結局は連帯保証人も契約者本人と同じく自己破産や個人再生といった債務整理を行わなくてはならなくなります。
住宅ローンの連帯保証解除は難しい
原則として、すでに連帯保証人となっている人が途中で連帯保証人を辞めることは極めて困難です。
金融機関は、連帯保証人がいることを前提に融資をしており、その保証を一方的に解除することは認められません。
▼連帯保証解除が認められない主なケース
- 離婚
夫婦で連帯保証人になった後で離婚しても連帯保証契約は自動的に解除されない(戸籍上他人になっても金融機関との契約は残る) - 契約者本人の自己破産
契約者本人が自己破産して免責(借金の支払い免除)を受けても連帯保証人の返済義務は消えない(金融機関は残債務の全額を連帯保証人に請求する)
例外的に解除できる可能性があるのは、ローンを全額完済する、契約者本人単独の条件で他社に借り換える、現在の連帯保証人よりも信用力の高い代わりの連帯保証人を立てて金融機関が承認する、といった非常に限られたケースのみとなります。
もし住宅ローンを組む際に連帯保証人を求められた場合、また他社から連帯保証人になってほしいと頼まれた場合は、上記のリスクをしっかりと認識してから決断することをおすすめします。
契約者本人が住宅ローンの返済に困窮した場合の対処法
住宅ローンにおける連帯保証人が不利益を被らないようにするには、契約者本人がローンを滞納しないこと、そして滞納した場合には早急に手を打つことが最も重要といえます。
以下で、契約者本人が「住宅ローンの支払いが厳しい」と感じた場合に取るべき2つの手段をご紹介します。
- 金融機関に返済の猶予(リスケジュール)を相談する
- 任意売却により家を手放す
金融機関に返済の猶予(リスケジュール)を相談する
返済が苦しいと感じた時点で真っ先に行いたいのが、金融機関への返済計画変更(リスケジュール)の相談です。
▼リスケジュールの例
- 返済期間の延長
残りの返済期間を延ばして月々の返済額を減らす - 一定期間の元金据え置き
一定期間は利息のみを支払い、元金の返済を猶予してもらう - ボーナス返済の変更
ボーナス払いを停止したり毎月の返済に振り分けたりする
※いずれも総額が減額されるわけではない
金融機関側でも進んで家を競売にかけたいわけではないため、滞納前、遅くとも滞納が1回以内のタイミングで正直に相談すれば、リスケジュールに応じてもらえる可能性があります。
任意売却により家を手放す
リスケジュールを加味しても今後の支払いが難しい場合は、「任意売却」で家を手放すことも有効な手段となります。
任意売却とは、債権者(金融機関や保証会社)の合意を得て、競売の前に自分の意思で自宅を売却することです。
家を売るという意味では競売と同じですが、両者には以下の通り明確な違いがあります。
| 競売 | 任意売却 | |
| 売却価格 | 市場価格の5割~7割 | 市場価格に近い金額 |
| 退去 | 強制的に退去の必要あり | 買主との交渉次第で引っ越しまでの猶予ができる |
| プライバシー | ✕(競売物件のサイトに掲載される) | 〇(周囲の人に知られにくい) |
| 引っ越し費用 | 全て自己負担 | 交渉可能(売却代金から捻出できる可能性あり) |
| 残りのローンの支払 | 原則的に一括請求 | 分割の交渉が可能 |
上記のメリットから、任意売却は実行が早ければ早いほど後々の生活の立て直しが楽になり、また連帯保証人への悪影響も抑えられます。
これからの返済に行き詰まりを感じた段階で、専門の不動産会社に相談してみましょう。
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まとめ
住宅ローンの「連帯保証人」は、契約者本人と全く同じ返済責任を負う、非常に重い立場です。
契約者が住宅ローンを滞納すれば、連帯保証人の預金や給与、自宅までもが差し押さえられるリスクに直面します。
そのような事態を招かないためには、契約者本人がローンの支払いに困った時点で金融機関に相談すること、それでも難しい場合は任意売却で早めに家を手放す決断をすることが大切です。
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