リースバックと一般的な賃貸は、どちらも家賃を払って家に住む点は共通するものの、仕組みは全くの別物です。
そのため、両者の違いを正確に理解しないまま選択すると、後悔する可能性もあります。
この記事では、リースバックと賃貸の基本的な違いやそれぞれのメリット・デメリット、向いているケース、またリースバックが利用できない場合の対処法(任意売却)まで解説していきます。
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目次
そもそもリースバックとは?
まずは、次の2つの観点から、「リースバックとはどんなものなのか?」について解説していきます。
- リースバックの仕組み
- リースバックを利用する条件
リースバックの仕組み
リースバックとは、ご自身の所有する自宅を事業会社や投資家に売却し、同時にその買主と賃貸借契約を結ぶことで、売却後も家賃を払いながらその家に住み続ける仕組みです。
所有権は手放しますが、引っ越しをせずにまとまった売却資金を一度に得られる点が最大の特徴といえます。
▼リースバックを進める流れ
- 申込み・査定
リースバック事業会社に所有不動産の査定を依頼 - 売買契約
提示された売却価格や家賃設定・賃貸借の条件に合意すれば買主と不動産売買契約を締結 - 賃貸借契約
売買契約と同時に買主を貸主(大家)として賃貸借契約を締結。 - 決済・引渡し
売買代金が一括で支払われると同時に不動産の所有権が買主に移転 - 居住開始(継続)
賃借人として毎月家賃を支払いながらそのまま自宅に住み続ける
このほか、固定資産税や都市計画税の支払いが不要になること、売却の事実を周りに知られにくいことなども大きなメリットといえます。
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リースバックを利用する条件
リースバックの利用には審査があり、主に以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 住宅ローンを完済できること
- 家賃の支払い能力があること(年金収入なども含む)
- 不動産の名義人全員の同意があること
このうち、特に重要なのが住宅ローンです。
リースバックは原則的に「アンダーローン(家の売却金額で住宅ローン残高を完済できる状態)」の場合にのみ選択できる手段であり、「オーバーローン(家の売却金額では住宅ローン残高を払いきれない状態)」では実行がきわめて困難になります。
このほか、売却予定の家に雨漏りやシロアリ被害など重大な欠陥がある場合、リースバックの利用が難しくなることがあります。
リースバックと一般的な賃貸との違い
リースバックと一般的な賃貸との違いは、大きく次の3つです。
- 家賃
- 居住できる期間の長さ
- 将来的な買い戻しの有無
違い①家賃
リースバックは、毎月の家賃が周辺の一般的な賃貸物件の相場に比べて高くなる傾向が見られます。
これは、リースバックの家賃を決める際、家の売却価格(買主が出した金額)を基準に「利回り(買主が期待する利益)」を考慮し、買主が利益を得られるだけの価格として設定されるためです。
違い②居住できる期間の長さ
多くの場合、リースバックは一般的な賃貸物件よりも居住できる期間が短くなります。
これは、賃貸物件に住む際の賃貸借契約が、以下の通り「定期借家契約」であるか「普通借家契約」であるかの違いによるものです。
▼定期借家契約と普通借家契約の違い
| 契約形態 | 定期借家契約 | 普通借家契約 |
| 当てはまるケース | リースバックの契約に多い | 一般的な賃貸物件の契約に多い |
| 契約期間 | 2~3年が多い | 1年以上(リースバックでは5~10年など長期もあり) |
| 契約更新 | 不可(再契約には双方の合意が必要) | 可能(原則として更新される) |
| 貸主からの解約 | 期間満了で終了(中途解約は別) | 家賃滞納などの「正当事由」が必要 |
| 借主の保護 | 弱い(貸主有利) | 強い(借主有利) |
上記の通り、リースバックの契約に多い定期借家契約では、期間満了後に原則として退去しなければならないため、長期に渡って安定的に居住することが難しくなってしまいます。
普通借家契約で長期居住が可能なリースバックもありますが、数は少ないのが現状です。
違い③将来的な買い戻しの有無
リースバックにはあって一般的な賃貸物件にはない大きな特徴として、一度売却した家を将来的に買い戻せる可能性がある、という点が挙げられます。
売買契約時に「買い戻し特約」を付けておくことで、定められた期間内であれば、合意した金額で買い戻す権利を得ることができるのです。
ただし、買い戻し価格は売却価格よりも高額になることが多いため、その点は留意しておきましょう。
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リースバックと一般的な賃貸のどちらが良い?
先述したリースバックと一般的な賃貸物件の違いを踏まえ、どちらがどのようなケースに向いているかを見ていきましょう。
- リースバックが向いているケース
- 一般的な賃貸が向いているケース
①リースバックに向いているケース
リースバックに向いているのは、以下のような要望・状況に当てはまる方です。
- 住宅ローンの返済が苦しくなってきた
売却してローンを完済しつつ売却後の家賃負担の方が軽い場合に有効 - 急にまとまった資金が必要になった
事業資金や高額な医療費、子供の教育費、その他借金の一括返済など - 老後の生活資金に不安がある
自宅を現金化してゆとりある生活費に充てたい場合など - 引っ越しをしたくない・住み慣れた環境を変えたくない
子どもの学区を変えたくない、近所付き合いを続けたいなど - 相続対策として不動産を現金化したい
- (不動産のままでは分割が難しい場合、現金化して整理しておきたい)
上記のケースを総合すると、「資金は必要だが住環境は変えたくない」というニーズに対して強いのがリースバックといえます。
②一般的な賃貸に向いているケース
一般的な賃貸物件に向いているのは、以下のような要望・状況に当てはまる方です。
- ライフプランが未定・変化する可能性が高い
転勤が多い、将来的に実家に戻る可能性がある、家族構成が変わる予定があるなど - 住環境にこだわりが少なく身軽に引っ越したい
近隣トラブルや災害リスクなどを回避するため、いつでも移動できる自由が欲しい - 住宅の維持管理の手間や費用を負いたくない
賃貸なら設備の故障や建物の修繕は基本的に大家の負担となる - 毎月の家賃を抑えたい
リースバックの家賃は相場より高くなる可能性がある - 初期費用を抑えたい
持ち家購入に比べ賃貸の初期費用(敷金・礼金など)の方が一般的に安い
上記のケースを総合すると、住む場所の自由度や維持管理の負担軽減を重視するなら一般的な賃貸物件が適しているといえるでしょう。
リースバックできない場合は任意売却も検討する
住宅ローンの支払いが苦しく、リースバックで資金を得たいと考えていても、オーバーローンをはじめ審査に通らない可能性が高いケースも多いと思います。
そのような場合、リースバックではなく「任意売却」が非常に有効な手段です。
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際などに、債権者の合意のもとに自分の意思で不動産を売却する方法です。
住宅ローンが払いきれず、最終的に裁判所の手続きに基づく「競売」になってしまった場合と比べ、売却価格など多くの面でのメリットがあります。
▼任意売却と競売の比較
| 任意売却 | 競売 | |
| 売却価格 | 市場価格に近い金額 | 市場価格の5割~7割 |
| 退去 | 買主との交渉次第で引っ越しまでの猶予ができる | 強制的に退去の必要あり |
| プライバシー | 〇(周囲の人に知られにくい) | ✕(競売物件のサイトに掲載される) |
| 引っ越し費用 | 交渉可能(売却代金から捻出できる可能性あり) | 全て自己負担 |
| 残りのローンの支払 | 分割の交渉が可能 | 原則的に一括請求 |
家を手放すことにはなるものの、すでにオーバーローンの場合、リースバックに固執するよりもスムーズに生活の立て直しが可能になります。
ただし、任意売却は「競売開札日の前日」までに売買契約を成立させて代金決済まで終えている必要があるため、すでにローン滞納が始まっている場合などは早急に専門の不動産会社などへの相談をおすすめします。
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まとめ
リースバックは、自宅を事業会社や投資家に売却し、同時にその買主と賃貸借契約を結ぶことで、売却後も家賃を払いながらその家に住み続ける仕組みです。
住環境を変えずに売却資金を得られる一方で、一般的な賃貸物件と比べて家賃が高くなりがちで、住める期間も短くなる場合が多いというデメリットも存在します。
ご自身の事情やライフスタイルを踏まえて、どちらが向いているのかをしっかりと判断しましょう。
また、まとまった資金は得たいもののリースバックの審査に通らない場合は、「任意売却」のご検討を強くおすすめします。
家は手放すことになりますが、売却価格やその後の生活の立て直しなどに多くのメリットが有る方法です。
センチュリー21中央プロパティーは、債務整理に強い弁護士が社内に在籍する不動産会社として、多くの方の任意売却を成功させてきました。
弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。住宅ローンによる生活苦にお悩みの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。