不動産投資は、成功すれば長期的な資産形成につながる一方、一度失敗するとリカバリーが難しいという側面を持っています。
そのため、「いつか良くなるはず」と放置すれば、最悪の場合物件が競売にかけられてしまうリスクもあるのです。
本記事では、不動産投資に失敗したと感じた際の適切な相談先と、借金が残る状態でも解決可能な「任意売却」という手法について、詳しく解説します。
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目次
不動産投資に失敗したときの相談先6選
不動産投資に失敗したときの相談先として、次の6つが挙げられます。
- 不動産コンサルタント
- 税理士
- ファイナンシャルプランナー
- 信託銀行
- 不動産投資ローンの借入先(金融機関)
- 【最終手段】任意売却専門の不動産会社
相談先①不動産コンサルタント
空室などで家賃収入が予想を下回り、なかなか収益が上がらない場合は不動産コンサルタントに相談するのがおすすめです。
新たな家賃設定やリフォーム・リノベーションをした場合の収益性、管理会社の業務状況を踏まえた運営の効率化など、黒字化に向けた具体的な施策・提案を聞くことができるでしょう。
投資用物件そのものの活用に対して助言を受けられるため、収益改善の直接的な助けになる可能性が高い相談先です。
一方で、物件自体が赤字の原因ではない場合は、以下でご紹介する別の相談先も検討する必要があります。
相談先②税理士
家賃収入は得ているのに手元に現金が残らない、あるいは税金の出費で赤字になっているといった場合には、税理士に相談してみましょう。
計上し忘れている経費の処理や過去の申告内容の確認などを通じて、依頼者が損をすることのないようお金の流れを正確に整えることができるため、現状の収益改善に役立つ可能性があります。
しかし、空室対策やリフォーム・リノベーションなど、物件に対する提案を受けることはできないため、赤字の原因が物件そのものにある場合は、先にコンサルタントに相談するのがよいかもしれません。
相談先③ファイナンシャルプランナー(FP)
不動産投資の負担が、教育費や老後資金、日々の生活費など、家計全体を圧迫している場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)への相談が有効です。
保険や通信費の見直しなど投資以外の支出のスリム化や、手持ちの財産(株式や不動産・その他の資産)の処分の提案など、現在の収入で最大限やりくりしていくための提案を受けられます。
ただし、不動産投資そのものではなくその他の家計改善がメインの相談になるため、FP単体ではなくコンサルタントや税理士との併用が必要なケースもあります。
相談先④信託銀行
資産規模が数億円単位と大きく、アパートやマンションを複数棟所有している場合や、相続対策を主目的として不動産投資を行っている場合は、信託銀行も相談先の一つとなります。
信託銀行は顧客の財産を預かって運用・管理する「信託業務」もおこなうため、収益性の低い物件の売却や優良物件への買い換えなど、不動産投資の中でも複数棟単位の大規模な赤字改善に対する助言や提案を受けることが可能です。
一方で、区分マンション1室のみやワンルーム投資など、規模が小さい投資では具体的な対応をしてもらえない可能性もあるため、その点は留意しましょう。
相談先⑤不動産投資ローンの借入先(金融機関)
投資失敗による赤字化が進行し、月々の不動産投資ローンの支払いに困窮してきてしまった場合は、真っ先に借入先の金融機関に相談しましょう。
正直に現況を伝えることで、「一定の間のみ利息だけの支払いにしてもらう」「返済期間を延長して月々の返済額を減らす」など、返済計画変更(リスケジュール)の措置を受けることが可能です。
ただし、一般的な住宅ローンとは異なり不動産投資ローンは金融機関側でもビジネスとしてシビアに判断するため、リスケジュールの代償として金利の引き上げが行われることがあります。
また、一度リスケジュールを行うと、その銀行での追加融資や他の銀行への借り換えが困難になるというリスクがあるため、「この期間だけは乗り切りたい」という場合にのみ相談することをおすすめします。
相談先⑥【最終手段】任意売却専門の不動産会社
不動産投資の失敗が続き、不動産投資ローン滞納が避けられない、あるいはすでに滞納が始まっている場合は、任意売却専門の不動産会社に相談しましょう。
不動産投資ローンの滞納が3ヶ月続いた場合はローン残高全額を一括請求されることになり、それが払えなければ最終的に「競売」によって物件が強制的に売却されてしまいます。
任意売却は、債権者の同意を得た上で、競売になる前に自分の意思で物件を売却する方法です。
競売に比べて売却価格が高く、売却後の生活の立て直しもスムーズになるなど、不動産投資を失敗した場合のリカバリー方法として非常に有効といえます。
一括請求を受けた時点で、物件の維持は実質的に不可能です。
滞納が避けられない局面を予見したタイミングで、任意売却の取扱に実績のある不動産会社に相談することを強くおすすめします。
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不動産投資の5つの失敗事例
不動産投資は、家賃収入を出費が上回ることで赤字となります。
では、具体的にはどのような理由でそういった失敗に陥るのでしょうか。
以下で、不動産投資の赤字化につながってしまう5つの例をご紹介します。
- 不動産投資ローン返済が負担になっている
- 収益の見通しが甘かった
- 空室が増えている
- 家賃が下落している
- 維持管理費や税金が負担になっている
①不動産投資ローン返済が負担になっている
不動産投資ローンの返済を原因とする赤字化は、不動産投資の典型的な失敗例といえます。
不動産投資ローンは、もともと住宅ローンに比べて金利が高く設定されています。
また、不動産投資ローンの多くは固定金利ではなく変動金利が採用されているため、経済情勢の変化により金利が上昇すれば毎月の返済額も増加してしまうのです。
こうした理由から、不動産投資ローンの返済は負担が大きく、家賃収入が入らないタイミングなどがあるとあっという間に赤字につながってしまいます。
②収益の見通しが甘かった
不動産投資ローンの返済と並び、収益の見通しの甘さも投資の失敗例として代表的なものです。
物件を購入する際、本来であれば空室リスクや維持管理費・税金等の出費を考慮して収益性を予想するのがセオリーといえます。
しかしこれらを計算に入れず、「毎月(あるいは年間)の家賃収入がローン返済額を上回るか否か」のみで判断してしまうと、さまざまな出費が全て想定外のものとなり、ささいなきっかけで見通しが崩れてしまうのです。
③空室が増えている
空室の発生は、不動産投資の失敗を呼び込む最も直接的な原因といえます。
投資物件のオーナーは、立地や競合物件の増加、物件の老朽化などを考慮し、設備投資などのさまざまな策を講じますが、それでも空室を防げないのは決して珍しいことではありません。
空室となっている間は家賃が得られず、ローン返済と維持管理費・税金の支払いだけが続くため、空室の期間や数によってはそれまでの収益もあっという間に枯渇した例も数多く存在します。
④家賃が下落している
やむを得ない家賃の下落も、不動産投資の赤字を作り出す要因の一つです。
建物は経年とともに物理的に劣化し、それに伴い家賃相場も必ず下落します。
特に新築の物件を購入した場合、最初の入居者が退去して「中古」となった瞬間、家賃を大幅に下げないと入居者が決まらなくなる、というケースもよくあります。
家賃収入が減っても、銀行へのローン返済額は変わらないため、収入と支出のバランスが崩壊し、所有する期間が長引くほどに赤字が拡大してしまった例も数多く存在します。
⑤維持管理費や税金が負担になっている
不動産投資の失敗には、以下のような維持管理費や税金といった目に見えづらいコストが大きく関わる場合もあります。
▼不動産投資にかかる維持・管理費や税金の例
- 物件維持にかかる費用
管理委託費(家賃の5%程度)や、区分マンションの場合は管理費・修繕積立金など。 - 突発的な費用
物件内の設備の故障修理・交換、水漏れトラブルなどの修繕費。 - 税金
毎年の固定資産税・都市計画税。 - 保険料
数年ごとの火災保険料・地震保険料。
これらのコストが想定以上に家賃収入を削ることで、「空室が発生していないのに赤字化する」という例も見られます。
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収益改善が難しい場合は任意売却の利用も検討する
冒頭の章でも触れましたが、不動産投資が失敗し、ローンの滞納が避けられない場合は「任意売却」が有効な手段になります。
任意売却とは、不動産投資ローンの返済が困難になった際、物件が競売で強制的に売却されてしまう前に、自分の意思で不動産を売却する方法です。
以下の通り、任意売却には競売にはない多くのメリットが存在します。
| 任意売却 | 競売 | |
| 売却価格 | 市場価格に近い金額 | 市場価格の5割~7割 |
| 退去 | 買主との交渉次第で引っ越しまでの猶予ができる | 強制的に退去の必要あり |
| プライバシー | 〇(周囲の人に知られにくい) | ✕(競売物件のサイトに掲載される) |
| 残りのローンの支払 | 分割の交渉が可能 | 原則的に一括請求 |
上記の比較表の通り、任意売却は売却後のローン残債務を大幅に圧縮できる可能性があり、また残った債務についても現実的な分割返済プランを立てやすくなります。
こうした点を踏まえても、任意売却は不動産投資を失敗した場合のリカバリーや、その後の生活の立て直しのために非常に有効な手段といえるでしょう。
任意売却の流れ
投資用マンションで任意売却を行う場合のプロセスは、以下のステップで進行します。
- 現状のヒアリングと価格査定
まずは任意売却に強い不動産会社へ相談を持ちかけ、物件の査定額を算出した後に不動産投資ローンの残債額と照らし合わせて現状を把握する。 - 債権者(銀行・保証会社)への交渉
依頼を受けた不動産会社が依頼者に代わって不動産投資ローンの債権者である金融機関へ任意売却の承諾を求める。その際、いくらで売り出し、売却代金をどう配分するかといった具体的な計画案(配分案)を提示する。 - 媒介契約の締結
債権者から売却活動の同意が得られた段階で、不動産会社と正式に「媒介契約(売却を依頼する契約)」を締結する。 - 販売活動のスタート
一般市場に向けて購入希望者を募る。投資用物件の場合、入居者が住んでいる状態のまま次のオーナーへ引き継ぐ「オーナーチェンジ物件」として売り出されるのが一般的。 - 売買契約の締結
購入希望者が見つかり、価格や引き渡し条件などの調整がついたら、債権者から最終的な合意を取り付け、売買契約を交わす。 - 代金決済と物件の引き渡し
買主から代金を受け取り、それをローンの返済に充てる。同時に物件の所有権を買主へ移転する。
なお、すでに競売の手続きが始まってしまっている場合、上記のすべての工程を「競売の開札期日の前日」までに完了させなければなりません。
そのため、任意売却の決断・実行は早いほど有利になるという点を意識しておきましょう。
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まとめ
不動産投資の失敗には、物件そのものや運用方法だけでなく、税金などの出費や不動産以外の家計の事情など、さまざまな原因が存在します。
そのため、投資の状況を好転させるためには、不動産コンサルタントや税理士、ファイナンシャルプランナーなど、それぞれの原因に応じた相談先を頼ることが大切です。
しかし、これらの専門家に相談しても失敗が続き、不動産投資ローン滞納が避けられない場合は、「任意売却専門の不動産会社」を相談先に選んでみることをおすすめします。
任意売却は、不動産投資が失敗した場合にローンの残債務を減らし、その後の生活を立て直すために非常に有効な手段です。
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弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。
不動産投資の失敗にお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。