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任意売却の基本

任意売却の売買契約書に入れるべき特約とそのメリットを徹底解説

任意売却の売買契約書に入れるべき特約とそのメリットを徹底解説

この記事では、任意売却の売買契約書に記載される内容と、その中でも必ず把握しておきたい重要な特約条項などについて解説していきます。

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任意売却の売買契約書に記載すべき内容

任意売却の売買契約書は、大きく次の2つの内容から構成されます。

  • 売買取引のベースとなる基本的な内容
  • 任意売却ならではの特約条項

契約書の内容を十分に理解しないまま署名・捺印してしまうと、売却後に予期せぬトラブルや不利益が発生する可能性もあります。

以下で順を追って解説していきますので、ぜひご参照ください。

①売買取引のベースとなる基本的な内容

任意売却の売買契約書における「基本的な内容」は、物件情報や売却金額など、通常の不動産売買でも必ず定められる大切な項目です。

詳しくは、以下の売買契約書の表記例にしたがって解説していきます。

▼任意売却の売買契約書の記載例

売主〇〇と買主〇〇との間に末尾記載の物件につき下記条項により売買契約を締結した

①第〇条(売買価格)
末尾記載の物件(以下本物件という)の売買価格を金〇〇円とする。(うち消費税〇〇円也)

①第〇条(手付金・支払日)
買主は手付金として令和〇年〇月〇日までに金〇〇円也を売主に支払う。手付金は売買代金の一部として残代金受領の時にこれを充当するものとする。

①第〇条(残代金・支払日)
買主は手付金として令和〇年〇月〇日までに金〇〇円也を売主に支払う。

②第〇条(引渡し及び所有権移転登記申請の時期)
売主は、買主が前条の残代金を支払うと同時に、買主に対し本物件の引渡しと所有権移転登記申請手続を行い、買主はこれに協力するものとする。

③第〇条(権利の抹消等)
本物件に抵当権等の担保権、質権、先取特権、賃借権、その他の権利の登記があり、買主による本物件の所有権行使を阻害する負担があるとき、売主は所有権移転登記申請手続までに上記の登記を完全に抹消する。

④第〇条(公租・公課の負担)
 1.本物件に対して賦課される公租・公課は、引渡し日の前日までの分を売主が、引渡し日以降の分を買主が、それぞれ負担する。
 2.公租・公課納付分担の起算日は、令和〇年1月1日とする。
 3.公租・公課の分担金の清算は、残代金支払時に行うものとする。

⑤特約条項
〇〇

売主・買主・仲介人等の氏名・住所・押印など

⑥物件の表示
・所在地:東京都〇〇区~
・家屋番号:〇〇番
・地目:宅地
・地積:〇〇平方米
・構造:木造
・床面積:〇〇平方米
・設備:畳、建具、電気、水道、ガス
・その他:〇〇

※条項の内容・順番・表記等は業者によって異なるため、上記はあくまで一例です

①売却金額(手付金・残代金)・支払日
売買の総額と、手付金・残代金それぞれの金額・支払日が定められる。
※手付金と残代金の間に「中間金」が定められる場合もある
※任意売却では売買不成立時のリスクを考慮して「手付金がないケース」も存在する

②所有権と引渡しについて
買主が代金の全額を支払った時点で所有権が買主に移転すること、また支払日と同時に物件を引き渡すことが定められる。
※支払日当日に司法書士が所有権移転登記を申請するのが一般的

③抵当権等の抹消
買主が物件購入後にその活用が制限されないよう、売主は決済日までに物件に設定されている抵当権や差押えなどの権利を全て抹消することが定められる。

④公租公課の精算
売主と買主でその年の固定資産税・都市計画税を公平に分担するために、引渡し日を基準に日割り計算することや起算日(通常は1月1日または4月1日)などが定められる。

⑤特約条項
任意売却ならではの特約条項などが定められる(次章で解説)。

⑥売買物件の情報
売買される物件の詳細情報が記載される。

表記の仕方は業者によりさまざまですが、以上の内容は原則的にどのようなケースの任意売却にも共通して定められる内容となります。

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②任意売却ならではの特約条項

任意売却の売買契約書に盛り込まれる特約(前章の「⑤特約条項」)として、代表的なものは以下の7点です。

  • 契約不適合責任の免責特約
  • 債権者の同意を条件とする特約
  • 違約金を負担しない旨の特約
  • 一括決済を行う旨の特約
  • 公簿売買規定の責任を負わない旨の特約
  • 抵当権や差押登記による不利益を防ぐ特約
  • 補修や動産撤去に関する特約

任意売却は、「売主が経済的に困窮している可能性があること」「売買の成立に債権者の同意が不可欠であること」、この2点が通常の売買と大きく異なります。

こうした特約は任意売却における売買契約書の核心ともいえる箇所になるため、しっかりと確認しましょう。

契約不適合責任の免責特約

契約不適合責任とは、売却した物件に契約内容と異なる不具合(雨漏りやシロアリ被害・設備故障など)が見つかった場合に、売主が買主に対して負う責任です。
※2020年の民法改正でそれまでの「瑕疵担保責任」に代わって導入されたもの。

しかし、任意売却を行う売主は、経済的な事情により売却後の修理費用や賠償金を支払えないケースも珍しくありません。
そのため、任意売却の契約書では、この契約不適合責任を全面的に免責する特約を設けるのが一般的です。

▼売買契約書の記載例

売主は、本物件(土地・建物・付帯設備を含む)について、契約不適合責任を一切負わないものとする。
買主は、本物件に契約不適合が存した場合でも、売主に対し、追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることはできない。

当然、買主にとってはリスクとなるため、不具合があっても買主負担で修補することを十分に説明して理解を得なければなりません。
また、売主が不具合を意図的に隠していた場合は免責されない可能性があるため、告知書の記載は正直に行う義務があります。

債権者の同意を条件とする特約

任意売却は、物件に抵当権を持つ債権者全員が「その売買価格で売却することを認め、抵当権を抹消する」と同意しなければ成立しません。
もし、契約後に債権者が「やはり認めない」と言い出せば、売買は破綻してしまいます。

▼売買契約書の記載例

本契約は、売主の債権者(抵当権者、差押権者等)全員が、本契約の売買代金をもって抵当権等の抹消に応じる旨の同意をすることを停止条件とする。
令和〇年〇月〇日までに前項の条件が成就しない場合、本契約は自動的に解除(白紙解除)となり、売主は受領済みの手付金を、無利息にて速やかに買主に返還しなければならないものとする。

一方で、手付金を受領していた場合は速やかに買主に返さなければなりません。

違約金を負担しない旨の特約

通常の不動産売買では、契約後に自己都合で契約を破棄した場合、相手方に違約金を支払う必要があります。
しかし任意売却の場合、売主が高額な違約金を負担できないケースも数多く見られます。

▼売買契約書の記載例

売主の責に帰すべき事由により本契約が解除された場合、売主は買主に対し、違約金の支払義務を負わないものとする。
但し、その場合、売主は受領済みの手付金を無利息にて速やかに返還しなければならない。

これは、債権者の同意が得られない場合とは別で、あくまで売主都合の契約違反を想定したものです。
買主にとっては不利な条件ですが、任意売却ならではの事情を理解した買主が合意するケースが一般的です。

一括決済を行う旨の特約

通常の売買では、契約時に手付金を受け取り、引渡し時に残代金を受け取るのが一般的です。

しかし任意売却では、債権者が「売主が手付金を生活費などに使ってしまい、決済時に必要な諸経費が払えなくなる」という事態を懸念することがあります。

▼売買契約書の記載例

本契約における売買代金の支払いは、手付金を授受せず、令和〇年〇月〇日の引渡し日において、売買代金全額(金〇〇円)を一括して支払うものとする。

公簿売買規定の責任を負わない旨の特約

土地の売買には、登記簿に記載された面積で取引する「公簿売買」と、実際に測量した面積で取引する「実測売買」があります。

実測売買を行う場合は数十万円もの測量費用がかかり、登記簿の面積と差が生じれあれば代金を清算する必要がありますが、やはり売主側でこの測量費用を負担する余裕がないケースも珍しくありません。

そうした場合には、原則として測量を行わない「公簿売買」とし、後で面積の違いが判明しても清算は行わない旨を特約で定めます。

▼売買契約書の記載例

本売買は公簿売買とし、登記簿上の面積と実測面積との間に差異が生じた場合でも、売主及び買主は互いに異議を申し立てず、代金の増減請求等、一切の請求を行わないものとする。

抵当権や差押登記による不利益を防ぐ特約

任意売却物件には、住宅ローンの抵当権のほか、税金滞納による差押登記などが付いていることがあります。
通常の売買では、売主は自分の費用でこれら全ての登記を抹消し、クリーンな状態で買主に引き渡さなければなりません。

しかし任意売却の場合、やはり経済的な事情で売主側にそれらを抹消するための費用を用意することができない可能性もあります。
そうした場合、「買主から支払われる売買代金で全ての手続きを完結させる」ことを契約書に明記します。

▼売買契約書の記載例

売主は、買主の残代金支払時までに、本物件に設定されている抵当権、差押、その他一切の買主の所有権行使を阻害する負担を、買主が支払う売買代金をもって抹消し、完全な所有権を買主に移転するものとする。

補修や動産撤去に関する特約

契約不適合責任の免責と関連して、物件は「現状有姿(=今あるがままの状態)」で引き渡すことを明確にします

▼売買契約書の記載例

本物件は現状有姿にて引き渡すものとし、売主は建物・付帯設備について、一切の補修義務を負わないものとする。

また、任意売却では売主が家財道具を室内に残したまま退去せざるを得ないケースもあります。
これらの「残置物」の処理についても定めておく必要があります。

▼売買契約書の記載例

売主は、本物件の引渡し日までに、自己の責任と負担において、室内に残存する一切の動産類を撤去するものとする。

なお、もし売主が撤去費用を用意できない場合は、「売主は室内の動産の所有権を放棄し、買主が自己の負担で処分できる」といった特約を結びます。

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任意売却で売買契約書以外に必要な書類

最後に、任意売却を依頼する不動産業者の決定から任意売却完了までに、ご自身が用意する書類として、以下の4種類をご紹介します。

書類目的
登記済権利証または登記識別情報通知(いわゆる「権利証」)所有権の証明
住民票の写し戸籍の確認
印鑑証明書(発行から3ヶ月以内のもの)実印の確認
身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど顔写真付きのもの)本人確認

このほか、押印が必要な場面は多いため、不動産会社とのやり取りのタイミングでは実印を忘れず用意しておきましょう。

まとめ

競売開始通知が来た!差押え通知が来た!まだ間に合います。一人で悩まず、まずはご相談ください。
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任意売却における売買契約書は、通常の不動産と共通の基本的な内容と、任意売却ならではの特約条項の2つの要素から構成されます。

特に、特約条項に関しては任意売却の成立や売却後の生活につながる非常に大切な項目です。
任意売却を進める際には、必ず細部まで確認するようにしましょう。

任意売却専門の不動産会社として積み上げてきた実績と、社内弁護士の圧倒的な交渉力で、売主様の今後の人生をより良いものにするための売買契約締結をお約束いたします。

弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。任意売却でお困りの際は、お気軽にご相談ください。

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