住宅ローンによる老後破産は、適切な対策と早期の行動で十分に回避可能です。
もし返済が難しくなっても、金融機関や公的機関に早めに相談することで、自宅維持を含めた様々な道が開けます。
この記事では、住宅ローンによる老後破産の実態と、そうならないために今からできる具体的な対策、そして万が一の時の回避策について詳しく解説します。
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老後破産してしまうケース
老後破産とは、高齢になってから収入が途絶えたり減ったりした結果、生活費や医療費、借金などが支払えなくなり、経済的に破綻してしまう状態を指します。
ここでは、住宅ローンとの関連も踏まえ、老後破産に陥ってしまう典型的なケースを3つご紹介します。
1. 「定年後ローン」が家計を圧迫し続けるケース
多くの人が現役時代に組んだ住宅ローンが、定年退職後も残ってしまう「定年後ローン」は、老後破産に直結する大きな要因です。
定年退職すると、現役時代の給与収入がなくなり、主な収入源は公的年金に限定されます。
しかし、年金収入は現役時代の収入と比べて大幅に少なくなることがほとんどです。
少ない年金の中から高額な住宅ローンを毎月返済していくのは非常に困難です。
加えて、固定資産税や修繕費、マンションの場合は管理費・修繕積立金といった住居の維持費もかかり続けます。
住宅ローンや住居費で年金収入の多くが消えてしまうため、食費や光熱費、医療費、趣味・娯楽費といった日々の生活費まで捻出できなくなり、徐々に家計が破綻へと向かいます。
2. 退職金を安易に使い果たしてしまったケース
老後の住宅ローンの完済や、まとまった老後資金の頼みの綱となるのが退職金です。
しかし、この退職金を計画性がなく使ってしまい、老後破産に陥るケースも少なくありません。
「退職金でローンは完済できる」と思っていても、実際には子どもの教育費や結婚資金の援助、親の介護費用、自身の病気や入院費用など、予期せぬ大きな支出が発生し、退職金が目減りしてしまうことがあります。
長年の勤労の「ご褒美」として、海外旅行や高額な買い物に退職金を使い込んだり、知識がないままリスクの高い投資に手を出して失敗したりするケースもあります。
結果として、退職金を住宅ローンの完済に充てられなかったり、退職後に急な出費が必要になった際に手元に資金が全くなく、生活費を借金で賄うようになり、破産へと追い込まれてしまいます。
3. 健康状態の悪化や介護費用が想定を超えたケース
「まさか自分が」と思っていても、老後には健康状態の悪化や、自身または配偶者の介護が必要となるリスクが伴います。
これらの費用が想定を大きく超え、家計を圧迫して老後破産につながるケースです。
高齢になると病気のリスクが高まり、医療費が増加する傾向にあります。
公的医療保険でカバーされても自己負担分は発生しますし、先進医療や差額ベッド代など、保険適用外の費用がかかることもあります。
自身や配偶者に介護が必要になった場合、介護サービス利用料や、介護のためのリフォーム費用など、多額の費用が発生します。
介護保険制度を利用しても自己負担は生じますし、施設入所となると月額費用が高額になることも珍しくありません。
病気や介護のために仕事ができなくなれば収入が途絶えたり減ったりする一方で、医療費や介護費といった支出が増えるため、家計は急速に悪化。住宅ローンが重荷となり、破産へと進んでしまうのです。
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住宅ローンでの老後破産を防ぐ対策
住宅ローンでの老後破産を防ぐためには、以下の具体的な対策を講じることが重要です。
定年までの完済を目指した返済計画の見直し
定年までの完済を目指した返済計画の見直しを定期的に行いましょう。
例えば、ボーナスやまとまった貯蓄を、手元資金に余裕を持たせた上で、住宅ローンの繰り上げ返済に充てる方法があります。
総返済額を減らす「期間短縮型」と、月々の返済額を減らす「返済額軽減型」があり、老後の負担軽減には後者が有効です。
現在の金利よりも低い住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らしたり、月々の返済負担を軽減したりできる可能性があります。
複数の金融機関でシミュレーションを行い、メリットがあるか確認しましょう。
退職金に頼りすぎない老後資金の形成
iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は、税制優遇を受けながら、効率的に老後資金を形成できる制度です。
少額からでも早めに始めることで、複利効果も期待できます。
さらに、定年後も働き続けることで、年金以外の安定した収入源を確保できます。
現役のうちから、定年後も活かせるスキルや資格を身につけておくことが有効です。
老後資金と生活費の具体的なシミュレーション
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、将来受け取れる年金額を事前に把握しておくことも大切です。
老後の生活費を詳細に見積もり、収入と支出のバランスをシミュレーションしてみると良いでしょう。
食費、光熱費、医療費、介護費、趣味・娯楽費だけでなく、持ち家の場合の固定資産税、修繕費、マンションであれば管理費・修繕積立金など、住宅の維持にかかる費用も忘れずに計上し、具体的な支出を把握することが重要です。
自身でのシミュレーションが難しい場合や、より専門的なアドバイスが欲しい場合は、FPに相談することで、現実的なライフプランと資金計画を立てる手助けが得られます。
住宅ローンが原因での老後破産を避ける方法
「老後破産は避けたい、でも住み慣れた自宅は手放したくない」と考える方も多いでしょう。
ここでは、自宅に住み続けながら老後破産を回避する方法を3つ紹介します。
- リバースモーゲージの活用
- 個人再生(住宅ローン特則付き)の利用
- 自宅売却後のリースバック
1. リバースモーゲージの活用
リバースモーゲージは、自宅を担保にして金融機関から融資を受け、自宅に住み続けながら生活資金を得る制度です。
契約者が存命中は月々の元金返済が不要で、利息のみ支払うか、利息も後払いにするタイプもあります。
契約終了時(契約者が亡くなった際など)に、自宅を売却して融資額を清算します。
自宅を手放さずに老後資金を確保できますが、利用には年齢や物件の条件があり、融資額も評価額の一部に限定されます。金利変動リスクや相続時のトラブルに注意が必要です。
リバースモーゲージは、以下のような方におすすめです。
- 自宅に住み続けたいが、老後の生活資金や住宅ローンの返済に不安がある方。
- 自宅以外の資産が少ない方。
- 相続人が自宅を相続することにこだわらない方。
リバースモーゲージのメリット
- 自宅を手放さずに住み続けられる
住み慣れた環境を変える必要がなく、精神的な負担が少ないです。 - まとまった資金を確保できる
受け取った資金を、住宅ローンの完済、生活費の補填、医療費、介護費用などに充てることができます。 - 月々の返済負担が少ない
元金返済がないため、年金収入が少ない老後でも家計を圧迫しにくいです。
リバースモーゲージのデメリット
- 利用条件が厳しい
金融機関によって異なりますが、一般的に年齢制限(60歳以上、65歳以上など)、物件の評価額、地域、建物の構造などに制限があります。マンションは対象外となるケースも多いです。 - 融資額が自宅評価額の一部に限定
自宅の評価額の全てを借りられるわけではなく、通常は50%~70%程度に限定されます。 - 金利変動リスク
変動金利型の場合、金利が上昇すると月々の利息負担が増える可能性があります。 - 長生きリスク
想定以上に長生きした場合、融資限度額に達してしまい、それ以上の資金を受け取れなくなるリスクがあります。 - 相続人とのトラブル
自宅を担保に入れているため、相続時にトラブルになる可能性も考慮し、事前に家族とよく話し合う必要があります。
2. 個人再生(住宅ローン特則付き)の利用
個人再生は、裁判所を通して行う債務整理手続きの一つです。
特に住宅ローン以外の借金(カードローン、消費者金融からの借金など)も抱えていて返済が困難な場合に有効です。
「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を利用することで、マイホームを手放さずに、住宅ローン以外の借金を大幅に減額し、再生計画に基づいて分割で返済していくことが可能になります。
住宅ローン以外の借金は、最大で1/5~1/10程度にまで減額される可能性があります。
減額された借金を原則3年(最長5年)で返済していく計画を立て、裁判所の認可を得て実行します。
個人再生は、以下のような方におすすめです。
- 住宅ローン以外にも複数の借金を抱えており、返済が困難になっている方。
- 自宅は手放したくないが、他の借金が重荷になっている方。
- 将来的に安定した収入が見込まれる方。
個人再生のメリット
- 自宅を維持できる
住宅ローンを支払い続けることで、住み慣れた自宅を手放さずに済みます。 - 他の借金が大幅に減額される
住宅ローン以外の借金が重荷になっている場合に、その負担を大きく軽減できます。 - 自己破産を回避できる
財産を失うリスクの高い自己破産を避け、生活の再建を目指せます。
個人再生のデメリット
- 複雑な手続き: 裁判所を通す法的な手続きであり、専門的な知識が必要です。
- 信用情報への影響: 債務整理の一種であるため、信用情報機関に事故情報が登録されます(いわゆるブラックリスト)。新たな借り入れやクレジットカード作成が一定期間困難になります。
- 住宅ローン以外の借金があることが前提: 住宅ローンのみの返済が困難な場合には適用できません。
- 安定した収入が必要: 減額された借金を返済していくため、将来にわたって継続的な収入が見込まれることが条件となります。
3. 自宅売却後のリースバック
リースバックは、自宅を不動産会社や投資家などの第三者に売却(所有権を移転)した後も、その自宅に賃貸契約を結んで住み続けることができる方法です。
自宅の所有権はリースバック会社に移りますが、売却と同時にそのリースバック会社と賃貸借契約を結びます。
これにより、売却後も毎月賃料を支払うことで、以前と変わらず自宅に住み続けることができます。
リースバックは、以下のような方におすすめです。
- 自宅を手放さずに、現在の住まいに住み続けたい強い希望がある方。
- まとまった資金をすぐに得て、住宅ローンを完済したい、または当面の生活資金を確保したい方。
- 将来的に経済状況が回復すれば、自宅を買い戻したいと考えている方。
リースバックのメリット
- 自宅に住み続けられる
住み慣れた自宅を離れる必要がなく、引越しの手間や費用がかかりません。 - 住宅ローンから解放される
売却代金でローンを完済できるため、住宅ローンの重い負担から解放されます。 - まとまった資金を確保できる
ローン完済後の残金があれば、当面の生活費や医療費などに充てられます。 - 固定資産税などの負担がなくなる
所有権が移転するため、固定資産税や都市計画税などの負担がなくなります。 - 将来的に買い戻せる可能性も
契約によっては、将来的に自宅を買い戻すオプションが設定されることもあります(ただし、買い戻し価格は売却時より高くなることが一般的です)。
リースバックのデメリット
- 通常の売却よりも売却価格が低くなる傾向がある
売却後の賃貸契約を前提とするため、通常の市場価格よりも売却価格が低めに設定されることが多いです。 - 賃料が発生する
月々の家賃の支払いが発生します。賃料は売却価格や市場相場によって決まります。 - 所有権がなくなる
自宅の所有権は売却先に移るため、リフォームの自由度などが制限されます。 - 契約期間の更新ができないリスク
賃貸借契約の期間満了後、契約が更新されず退去を求められるリスクもゼロではありません。
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住宅ローンでの老後破産に関する相談先
住宅ローンが原因で老後破産の危機に瀕していると感じたら、一人で抱え込まず、できるだけ早く専門家に相談することが何よりも大切です。
早期に相談することで、利用できる選択肢が広がり、より良い解決策を見つけられる可能性が高まります。
ここでは、具体的な相談先とその役割を解説します。
1. 住宅ローンを借りている金融機関
金融機関は、顧客の返済が困難になった場合のために、様々な救済措置を用意しています。
例えば、返済猶予(一定期間、元金の支払いを据え置き、利息のみの返済にする)、返済期間の延長、月々の返済額の減額、ボーナス返済の見直しといった相談に応じてくれる可能性があります。
金融機関への相談は、滞納が始まる前に行うことが非常に重要です。
滞納が始まると、遅延損害金が発生し、信用情報にも傷がついてしまいます。
2. 公的な相談窓口・支援機関
国や自治体も、困窮した世帯を支援するための制度や窓口を設けています。
住宅金融支援機構
もし【フラット35】など、住宅金融支援機構のローンを利用している場合、返済が困難になった際の相談窓口が設けられています。
返済期間の延長や一定期間の返済額軽減など、様々な返済方法の見直しについて相談に乗ってくれます。
参考:住宅金融支援機構
市区町村の福祉窓口(生活困窮者自立支援制度の窓口)
住宅確保給付金は主に賃貸住宅の家賃支援制度ですが、持ち家であっても、住宅ローンの返済困難により自宅を失う危機にある場合に、特例的に利用できるケースがあります。
受給条件や手続きについては、お住まいの市区町村の窓口に相談し、持ち家での利用が可能か確認してください。
生活困窮者自立支援制度の一環として、住宅ローン以外の生活全般にわたる相談や、生活再建に向けた包括的な支援を受けられる可能性もあります。
消費生活センター
住宅ローンに限らず、多重債務など、借金全般に関する相談を受け付けています。
専門の相談員が無料で客観的なアドバイスを提供し、必要に応じて弁護士会や司法書士会などの専門機関を紹介してくれます。
法テラス(日本司法支援センター)
経済的に余裕がない方(収入や資産に条件あり)を対象に、無料の法律相談を提供しています。
住宅ローン以外の借金を含めた債務整理など、法的な解決策について相談する最初の窓口として有効ですいです。
弁護士や司法書士費用を立て替えてくれる「民事法律扶助制度」も利用できる場合があります。
3. 弁護士・司法書士
住宅ローン以外の借金も抱えている場合や、法的な解決(債務整理など)が必要になった場合に相談すべき専門家です。
借金の状況や収入・資産に応じて、最適な解決策(任意整理、個人再生、自己破産など)を提案してくれます。
特に「個人再生(住宅ローン特則付き)」は、住宅ローン以外の借金を大幅に減額しながら、自宅を手放さずに済む可能性のある法的な手続きです。
金融機関との交渉や、裁判所での手続きを代理で行ってくれるため、複雑な手続きの負担を軽減できます。
多くの法律事務所や司法書士事務所では、初回無料相談を実施しています。まずは複数の事務所に相談し、信頼できる専門家を見つけましょう。
4. 任意売却専門業者
住宅ローンの滞納が始まり、通常の売却では困難な状況になった場合に相談を検討すべき専門業者です。
住宅ローンの滞納により自宅の競売が進む前に、金融機関と交渉し、合意を得て自宅を売却する「任意売却」の専門家です。
債権者である金融機関との間に入り、売却価格や諸費用(引越し費用など)の交渉、売買契約の手続きなどを全て代行してくれます。
競売に比べて、市場価格に近い価格での売却が期待でき、引っ越し時期の調整など、債務者側のメリットを最大限に引き出すためのサポートを行います。
任意売却は、通常の不動産売買とは異なる専門知識や金融機関との交渉経験が必要です。そのため、任意売却の実績が豊富で、かつ宅地建物取引業の免許を持つ信頼できる業者を選ぶことが重要です。
弁護士や司法書士と連携している業者であれば、法的なアドバイスも含めてスムーズに進められるでしょう。
【実績5,000件以上】不動産会社×弁護士が任意売却をサポート! ≫
まとめ:老後破産は回避できる!今からの備えと早期相談が大切
住宅ローンによる老後破産は、決して他人事ではありません。しかし、適切な知識と計画的な準備があれば、十分に回避できる問題です。
最も重要なのは、「老後破産しそう」と感じたら、一人で抱え込まず、できるだけ早く金融機関や公的機関、弁護士・司法書士などの専門家に相談することです。
センチュリー21中央プロパティーは、任意売却に関する豊富な知識と実績を持っています。債務整理に強い常駐の社内弁護士が、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、期限までの確実な任意売却を実現します。
弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。住宅ローンでお困りの方は、今すぐご相談ください。