ご自宅が競売にかけられるという状況は、多くの方にとって初めての経験であり、不安や疑問が尽きないことでしょう。
この記事では、競売開始決定の通知から実際に家が売却されるまでの全ステップを詳しく解説します。
目次
競売開始決定とは?
「競売開始決定」とは、住宅ローンの返済が滞り、金融機関(債権者)が裁判所に申し立てを行うことで、自宅が差し押さえられたことを法的に通知するものです。
この通知が届くと、裁判所によって強制的に自宅が売却される手続きに入ったことになります。これは単なる督促とは異なり、所有者の意思に関わらず自宅が処分されるという、非常に重要な局面です。
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住宅ローン滞納から競売開始までの流れ
競売開始決定の通知は、突然送られてくるように感じるかもしれません。しかし、その裏には、返済の滞納から始まる以下のような明確なステップがあります。
- 住宅ローン滞納の始まり: 残高不足により毎月の返済日に引き落としができなかったり、振り込みが遅れたりすると、滞納が始まります。
- 金融機関からの督促・催告: 滞納が数日~数週間続くと、金融機関から電話やハガキ、書面による督促が届きます。さらに滞納が続くと、最終通告として「期限の利益の喪失」を告げる催告書が届きます。これは、「これ以上返済がなければ、残りのローンを一括で返済してもらう」という強い警告です。
- 保証会社による代位弁済: 多くの住宅ローンには保証会社が付いています。あなたがローンを返済できなくなると、保証会社があなたに代わって金融機関へ残りのローンを一括で支払います(これを「代位弁済」といいます)。これにより、債権者は金融機関から保証会社へと移り、保証会社があなたに「ローンの残債と、保証会社が立て替えた費用」を一括で請求する権利を持つことになります。
- 競売の申し立て: 保証会社(または金融機関)は、債権を回収するため、裁判所にあなたの自宅の競売を申し立てます。
この申し立てが裁判所に受理されると、「競売開始決定通知」があなたの元に送られてくるのです。
競売開始決定後の流れ:自宅が売却されるまでの全ステップ
競売開始決定の通知が届いてからの手続きは、法的なルールに則って進行します。主なステップは以下の通りです。
- 現況調査と評価: 裁判所の執行官がご自宅を訪問し、物件の状況(間取り、傷み具合、居住者の有無など)を調査します。また、不動産鑑定士が自宅の評価を行い、競売の基準となる価格(評価額)を決定します。この調査は拒否できません。
- 物件情報の公開(3点セット): 調査結果に基づいて、「現況調査報告書」「評価書」「物件明細書」の3つの書類が作成され、裁判所やインターネット(不動産競売物件情報サイト「BIT」など)で一般に公開されます。これらは通称「3点セット」と呼ばれ、入札希望者が物件を検討する際の重要な情報源となります。
- 入札の実施: 裁判所が設定した入札期間内に、物件の購入希望者が希望価格を提示して入札を行います。
- 開札と落札者決定: 入札期間終了後、開札が行われ、最も高額を提示した入札者が「最高価買受申出人(落札者)」となります。
- 売却許可決定と代金納付: 裁判所が売却許可決定を行い、落札者が指定された期日までに代金を納付します。
- 所有権移転: 落札者が代金を納付した時点で、自宅の所有権は落札者へと移転します。
これらの手続きは、競売開始決定から通常約6ヶ月~1年程度で完了することが一般的です。
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競売開始決定後、いつまで家に住める?
競売開始決定の通知が届いても、すぐに家から追い出されるわけではありません。基本的には、落札者が代金を全額納付し、所有権が落札者に移転するまでは自宅に住み続けることができます。
しかし、所有権が移転した後は、元の所有者としての権利はなくなります。落札者から自宅の明け渡しを求められた場合、それに応じる義務が生じます。話し合いで任意に明け渡しを行わない場合、落札者は裁判所に「引渡命令」を申し立てることができ、それが認められれば、最終的には裁判所の執行官による強制執行(強制退去)によって退去させられることになります。
強制執行までの期間は、ケースによって異なりますが、引渡命令が出てから通常は数週間から数ヶ月で実行されるため、決して長くはありません。
競売開始決定の通知が届いたら、早めに専門家に相談することで競売を回避できる可能性が高まります。
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競売開始決定の到着後に「絶対」にやるべきこと
競売開始決定の通知が届いたら、残された時間は決して多くありません。絶望する前に、以下の行動を直ちに起こしましょう。迅速に行動することで、状況を好転させる可能性は十分にあります。
1. 通知内容から状況を把握する
まず、届いた競売開始決定通知書を手に取り、記載されている内容を冷静に、そして正確に確認してください。この書類には、今後の手続きを進める上で不可欠な情報が詰まっています。
「競売開始決定通知書」は、「あなたの不動産に対して競売の手続きが開始され、差し押さえられた」という事実を法的に通知する目的の書類です。
この通知書に記載されているのは、主に以下の情報です。
- 競売事件番号
- 申立債権者(競売を申し立てた人・会社)
- 債務者兼所有者(あなた)
- 請求債権の表示(借金の詳細)
- 物件目録(競売対象となる不動産の詳細情報)
- 競売開始が決定した旨の宣言
多くの場合、通知書には「この決定の後、執行官による現況調査が行われます」といった今後の手続きの概要が簡潔に記載されている程度です。具体的な調査日や入札日などの詳細なスケジュールは、この後の段階で改めて通知されたり、裁判所の公告で確認する形になります。
競売の具体的なスケジュール(特に入札期間や開札日、売却基準価格など)が記載された通知は、競売開始決定通知から数ヶ月後(通常は3〜6ヶ月後)に、裁判所から改めて送られてくることになります。これを「期間入札通知」などと呼ぶことがあります。
この「期間入札通知」が届いた時点で、競売のタイムリミットは目前に迫っていることになります。
2. 債権者への速やかな連絡と状況説明
競売開始決定通知に記載されている債権者(多くの場合、保証会社)に、できるだけ早く連絡を取りましょう。 この連絡が、競売回避に向けた重要な第一歩となります。
競売による売却は、債権者にとっても必ずしも有利な結果になるとは限りません。市場価格より安く売却される競売よりも、任意売却の方が高値で回収できる可能性があるため、あなたの「競売を回避したい」という意向は、交渉の糸口になり得ます。
もし可能であれば、一時的にでも返済を再開できる見込みがあるか、または一部だけでも支払えるかといった相談もしてみましょう。債権者との対話を通じて、解決策を探ることが重要です。
債権者からの連絡を無視し続けることは、状況をさらに悪化させるだけです。まずは対話の窓口を開くことが最優先です。
3. 専門家への相談:競売回避の最も重要なステップ
競売は法的な手続きであり、専門的な知識と経験が不可欠です。ご自身だけで解決しようとせず、必ず専門家の力を借りましょう。これが、競売回避に向けた最も重要なステップです。
(1) 任意売却専門の不動産会社
競売を回避し、自宅を市場価格に近い形で売却する「任意売却」を検討するなら、この分野に特化した不動産会社への相談は不可欠です。
任意売却は、金融機関との交渉から売却活動、そして引っ越し先の検討まで、専門知識を持つ業者が一貫してサポートしてくれます。競売の入札が始まる前日までであれば、任意売却によって競売を取り下げることが可能です。
金融機関との複雑な交渉も、経験豊富な任意売却専門業者があなたの代理として進めてくれます。残債の分割返済や、引越費用の捻出交渉なども任せられる場合があります。
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(2) 弁護士または司法書士
債務全体の問題が複雑な場合や、法的な手続きが必要になる可能性がある場合は、弁護士または司法書士への相談も検討しましょう。
住宅ローン以外の借金が多い場合、個人再生(自宅を残しながら借金を大幅に減額)や自己破産(債務をゼロにする)といった法的な債務整理手続きの相談ができます。これらの手続きは、競売を一時的に中止させる効果を持つこともあります。
金融機関との交渉が困難な場合、弁護士があなたの代理人として交渉にあたってくれることもあります。
「家に住み続けたい」場合の対処法
競売の危機に瀕しても「自宅に住み続けたい」と願うのは当然です。競売を回避し、居住を維持するための具体的な方法を検討しましょう。
金融機関との交渉による競売の取り下げ
競売が進行中でも、債権者(金融機関や保証会社)が競売を取り下げれば、手続きは中止されます。これは、あなたがローンの残債を一括で返済したり、あるいは債権者と合意できる現実的な返済計画を提示したりした場合に可能です。
任意売却
競売を避けて自宅を残したいと考えるなら、「任意売却」が最も現実的な選択肢です。
任意売却は、債権者(金融機関など)の同意を得て、通常の不動産市場で自宅を売却します。競売の入札開始日の前日までであれば、任意売却によって競売を取り下げることが可能です。
競売よりも高値で売却できる可能性が高く、残債の減額や交渉の余地が広がります。また、引っ越し費用を捻出できる可能性や、プライバシーを守れる利点もあります。
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個人再生(住宅ローン特則)
住宅ローン以外の借金も多く、返済が困難な場合、裁判所を通じて借金を大幅に減額する「個人再生」という法的手段があります。この手続きには「住宅ローン特則」があり、これを利用することで、自宅を手放すことなく住宅ローン以外の債務を整理し、競売を回避できる可能性があります。ただし、住宅ローン自体を減額することはできません。
リースバック
ご自宅を売却し、同時に売却先と賃貸借契約を結んで、そのまま住み続ける方法です。これにより、ローンを完済するための資金を得つつ、家賃を支払って居住を継続できます。将来的に資金が回復すれば買い戻しを検討することも可能です。
親族間売買
信頼できる親族に自宅を買い取ってもらい、賃貸借契約を締結するなどして、そのまま住み続ける方法です。親族との関係性によっては、柔軟な条件設定が可能ですが、税務上の注意点や資金調達の難しさも考慮が必要です。
まとめ:競売開始が決定してもまだ間に合う
競売開始決定の通知が届いたからといって、諦めるのはまだ早いです。
競売は、滞納から始まり、裁判所の調査、物件情報の公開、そして入札・売却へと進む法的な手続きです。通知が届いても、所有権が落札者に移るまで住み続けることはできますが、最終的な強制退去や残債の発生は避けられません。
重要なのは、通知を受け取ったらすぐに「任意売却」の専門家や弁護士・司法書士に相談することです。競売の開札日前日までなら、任意売却が可能です。
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弁護士相談費用や仲介手数料など、売却に伴う費用は一切ございません。
住宅ローンでお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。