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競売・公売

競売までの流れ・回避の期限はいつまで?スケジュールを解説

競売までの流れ・回避の期限はいつまで?スケジュールを解説

住宅ローンの返済が滞ると、「競売」という言葉が頭をよぎり、大きな不安に襲われるかもしれません。

しかし、競売は突然始まるわけではなく、そこに至るまでには段階的なプロセスがあります。

この記事では、住宅ローン滞納の初期から競売決定、そして実際に自宅が処分されるまでの具体的なスケジュールを解説します。

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住宅ローン滞納から競売までの全体スケジュール

住宅ローン滞納から競売までの全体スケジュールは、以下の表の通りです。

ステージ 期間(滞納開始からの目安) 主な出来事と対応
1. 滞納開始~督促 1日目~約3ヶ月 電話・ハガキでの連絡、督促状、遅延損害金発生、期限の利益喪失予告通知
2. 期限の利益喪失~競売開始決定 約3ヶ月~6ヶ月 期限の利益喪失通知、保証会社による代位弁済、担保不動産競売開始決定通知
3. 競売開始決定~競売 約6ヶ月~1年 裁判所による不動産調査、競売入札・開札、残代金納付・引渡し命令

それぞれのステージを詳しく解説します。

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ステージ1:滞納開始~督促(滞納1日目~約3ヶ月)

住宅ローンの滞納は、多くの場合、この段階から始まります。この時期はまだ初期段階であり、解決のための選択肢が多く残されています。

滞納1日目~数日後:電話やハガキによる入金案内(連絡)

返済期日を過ぎてすぐに、金融機関から返済が確認できない旨の連絡が電話やハガキで入ります。

これはまだ「どうされましたか?」という確認の段階です。

この時点で金融機関に連絡し、返済が遅れている理由や今後の見通しを正直に伝えることが大切です。

滞納1ヶ月前後:督促状(書面)の送付、遅延損害金の発生

1ヶ月近く滞納が続くと、金融機関から書面による「督促状」が届きます。

この督促状には、未払い額に加えて遅延損害金が加算されていることがほとんどです。

遅延損害金は、通常の金利よりも高い利率で計算されるため、放置すると雪だるま式に増えていきます。

滞納2~3ヶ月:「期限の利益喪失予告通知」が届く

最も重要な書類の一つです。

この通知は、「このまま滞納を続けると、住宅ローンを分割で返済できる権利(期限の利益)を失いますよ」という最終警告です。

これが届いたら、事態はかなり差し迫っていると認識してください。

ここまではまだ猶予があります。 金融機関もいきなり競売にはしません。

この段階で、返済計画の見直し(リスケジュール)などについて金融機関に相談することが最も重要です。

ステージ2:期限の利益喪失~担保不動産競売開始決定(滞納約3ヶ月~6ヶ月)

このステージに入ると、状況は一変し、競売に向けて法的な手続きが本格的に動き出します。

滞納3~4ヶ月:「期限の利益喪失通知」が届く

「期限の利益喪失予告通知」を無視して滞納を続けると、ついに「期限の利益喪失通知」が送られてきます。

これは、あなたが住宅ローンを毎月分割で返済していく権利を完全に失い、ローン残高全額の一括返済を求められる状況になったことを意味します。

これが届いたら、まさに「いよいよ危険信号」です。

滞納4~5ヶ月:保証会社による代位弁済(サブロゲーション)の実行

多くの住宅ローンは保証会社と契約しており、債務者が返済不能になった場合、この保証会社があなたに代わって金融機関へローン残高を一括で支払います。

これを代位弁済(だいいべんさい)と呼びます。代位弁済が行われると、あなたの債務は金融機関から保証会社に移ります。

つまり、これからは保証会社から一括返済を求められることになります。

滞納5~6ヶ月:担保不動産競売開始決定通知が届く

代位弁済が実行された後、金融機関から債権を譲り受けた保証会社は、残債務を回収するために裁判所へ競売の申し立てを行います。

そして、裁判所からあなたのご自宅に「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。

これは、裁判所があなたのご自宅を競売にかけることを正式に決定したという通知です。

この通知が届くと、ご自宅が競売にかけられることが確定した段階であり、後戻りすることが非常に難しくなります。

ただし、この時点で競売の「開始日」が決定するわけではありません。

ステージ3:競売開始決定~競売(滞納約6ヶ月~1年)

競売開始決定通知が届くと、いよいよ最終段階へと進みます。

この段階では、競売を止めることは非常に困難になります。

競売開始決定後:裁判所による不動産調査(現況調査、評価) 

競売開始決定通知が届くと、数週間から数ヶ月後に、裁判所の執行官や不動産鑑定士がご自宅に訪問し、物件の状況確認や写真撮影、評価(査定)を行います。

これは、競売の基準となる価格を決めるための重要な調査です。この調査を拒否することはできません。

調査後~数ヶ月:競売の入札期間・開札

不動産の調査・評価が終わると、競売物件の情報が公開され、入札期間が設けられます。

競売情報はインターネットや裁判所の掲示板などで一般公開されるため、ご近所の方に知られてしまう可能性が高いです。

入札期間が終了すると、最も高値で入札した人が落札者(買受人)として決定されます。

落札後~数ヶ月:残代金納付・引渡し命令

落札者が裁判所に代金を納付すると、ご自宅の所有権は落札者へと移転します。

その後、裁判所から引渡し命令が出され、強制的に退去を求められることになります。

この命令に従わない場合、最終的には強制執行により、裁判所の執行官の立ち会いのもと退去させられる可能性もあります。

この競売までのスケジュールは、おおよその目安です。金融機関や裁判所の状況によって多少前後することはありますが、滞納が長引くほど、ご自身で状況をコントロールできる機会が失われていくことを理解しておきましょう。

競売を回避できる最終期限はいつまで?

競売を回避できる最終リミットは、競売の開札日の前日までです。

この日までに通常売却や任意売却で売買契約を締結し、決済・引き渡しを完了させれば、競売を取り下げることができます。

しかし、実際には、入札期間が始まってしまうと、買い手を見つけ、金融機関との交渉、売買契約、そして決済・引き渡しまでを数日のうちに行うのは現実的ではありません。

すでに落札者である買受人が決まっている(開札後)場合は、その買受人の同意が必要となり、取り下げは極めて困難になります。

競売の回避は、早く動くほど選択肢が多く、有利な解決が可能になるということを理解しておきましょう。

住宅ローンを滞納してしまい、最終的に競売を回避したいと考える場合、いくつかのアプローチと最終手段があります。私が長年、任意売却の専門家として見てきた中で、最も効果的で現実的な方法を解説します。

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競売を回避する4つの方法

競売を回避するための方法は、大きく分けて以下の4つが考えられます。

  • 住宅ローンの一括返済(滞納の解消)
  • 金融機関への相談と返済条件の変更(リスケジュール)
  • 債務整理
  • 任意売却

滞納の進行度合いによって、選択肢の有効性が変わってきますので、ご自身の状況に合わせて検討することが重要です。

1. 住宅ローンの一括返済(滞納の解消)

最も理想的な方法は、ローンの滞納を解消することです。

滞納している住宅ローン残高と遅延損害金を全額、金融機関に一括で返済すれば、競売の手続きは停止され、取り下げられます。

ただし、当然ながらこの方法は、他の資産の売却などで資金を工面できる場合に限定されるため、住宅ローンの滞納でお悩みの多くの人にとって有効な方法とは言い難い選択肢です。

2. 金融機関への相談と返済条件の変更

住宅ローンの返済が厳しくなり始めた初期の段階(滞納前〜滞納1〜2ヶ月程度)であれば、借り入れ先の金融機関に相談し、返済条件の変更(リスケジュール)を交渉することが可能です。

例えば、

  • 月々の返済額を下げ、返済期間を長くしてもらう
  • 一定期間、利息のみの支払いにしてもらう
  • ボーナス返済額の見直し

などがあります。

自宅を手放さずに、現在の生活状況に合わせて返済を継続できるメリットがありますが、 返済期間が延びたり、元金の返済が遅れたりすることで、最終的な総返済額が増えるため、慎重に検討する必要があります。

3. 債務整理

住宅ローン以外の借入も含め、全体の債務が家計を圧迫している場合、弁護士などの専門家に相談し、債務整理を検討する方法もあります。

債務整理の具体的な方法には、以下のようなものがあります。

  • 任意整理
    住宅ローンを除く消費者金融やカードローンなどの債務について、将来の利息カットや分割払いを交渉し、返済負担を軽減します。住宅ローンは維持できる可能性があります。
  • 個人再生
    裁判所の決定に基づいて、住宅ローン以外の債務を大幅に減額し、残りを分割で返済していく方法です。住宅ローン特則を利用すれば、自宅を残せる可能性があります。
  • 自己破産
    全ての債務が免除される最終手段ですが、自宅を含む全ての財産を失い、信用情報に大きな影響が出ます。

債務整理は、信用情報に記録が残り、新たな借り入れが難しくなります。債務整理に詳しい弁護士に相談し、リスクを注意した上で手続きを進めましょう。

4. 任意売却

上記の方法が難しい場合、あるいはすでに滞納が進行し、競売開始決定通知が届いてしまったような状況で、最も現実的な競売回避策となるのが任意売却です。

任意売却とは、金融機関(債権者)の合意を得て、担保になっている自宅を一般の不動産市場で売却する方法です。売却代金で住宅ローンを返済し、残った債務については債権者と無理のない返済計画を交渉します。

競売と比較して、高値で自宅を売却できるメリットがあります。

ただし、任意売却は、債権者との交渉が必要なため、専門の不動産会社に仲介を依頼することが任意売却を確実に成功させるポイントです。

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まとめ:競売の回避は早期の行動がカギ

競売を回避する上で最も重要なのは、問題が深刻化する前に、できるだけ早く行動することです。

滞納が長引くほど、金融機関や裁判所の手続きは進み、ご自身で状況をコントロールできる選択肢は減っていきます。

住宅ローンの返済に不安を感じ始めたら、一人で抱え込まず、まずは専門家にご相談ください。

「何とか競売だけは回避したい」「競売まで期限が迫っている」「他社に依頼しているが債権者への交渉が難航している」といった様々なご相談に対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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