高齢期の生活を支える有効な手段として注目されるリバースモーゲージ。「自宅に住み続けながら資金を得られる」という魅力的なメリットがある一方で、その裏には見過ごせないリスクが潜んでいます。
特に、人生100年時代と言われる今、「長生き」が想定外のリスクとなり、最終的に大切な自宅を失う「悲惨」な事態を招く可能性もゼロではありません。
本記事では、リバースモーゲージに隠されたデメリットや、長生きリスクがどのように影響するのかを詳しく解説し、契約前に知っておくべき注意点を分かりやすくお伝えします。
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リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、主に高齢者が自宅を担保にして、金融機関から資金を借り入れることができる融資制度です。
生きている間は自宅にそのまま住み続けることができ、契約者が亡くなった際に、担保になっていた自宅を売却することで借り入れの元本を一括で返済するという特徴があります。
リバースモーゲージの基本的な仕組みは、以下の通りです。
- 担保設定: 所有する自宅(不動産)を金融機関の担保とします。
- 融資実行: 担保評価額に基づいて決められた融資限度額の範囲内で、資金を借り入れます。受け取り方は、年金のように毎月一定額を受け取る方法、必要な時に随時引き出す方法、あるいは最初に一括で受け取る方法など、商品によって様々です。
- 居住継続: 契約期間中は、原則として自宅にそのまま住み続けることができます。
- 返済: 契約者(または夫婦など)が死亡するなど契約が終了した際に、担保となっていた自宅を売却し、その代金で借り入れた元本と利息を一括で返済します。契約期間中の返済は、利息のみを支払うケースが多いです。
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リバースモーゲージがおすすめな人
リバースモーゲージは、主に以下のようなニーズを持つ高齢者の方におすすめできる制度です。
自宅に住み続けながら、高齢期の生活資金や医療費、リフォーム費用などを確保したい方
年金収入だけでは生活費が不足する場合や、急な医療費、自宅のリフォーム費用など、まとまった資金が必要になった際に、住み慣れた自宅を手放すことなく資金を調達できます。
現預金などの金融資産は少ないが、評価の高い持ち家(特に一戸建て)を所有している方
自宅という不動産資産はあるものの、すぐに現金化できる資産が少ない場合、自宅を担保にすることで流動性を確保できます。
将来、子供に自宅を相続させることにこだわらない方
リバースモーゲージは、契約終了時に自宅を売却して借入金を返済する仕組みです。そのため、「家を必ず子供に残したい」という考えがない場合に適しています。むしろ、相続人が不動産を受け継ぐ負担を減らし、売却代金で借入を清算することを望む場合に有効です。
相続人が自宅を相続するよりも、売却して現金で遺産分割することを考えている方
相続人が複数いる場合など、不動産を分割することが難しいケースで、あらかじめリバースモーゲージで現金化の道筋をつけておくことが、円滑な遺産分割につながる可能性があります。
契約期間中のローン返済負担を極力抑えたい方
多くのリバースモーゲージでは、契約期間中は利息のみの支払い、または元本・利息ともに死亡時一括返済となるため、月々の負担を抑えることができます。
ただし、金利変動リスクや不動産価格の下落リスク、長生きによる借り入れ総額の増加(オーバーローンリスク)なども存在します。そのため、ご自身の状況や将来設計、リスク許容度を十分に考慮し、ご家族ともよく話し合った上で検討することが重要です。複数の金融機関の商品を比較することも大切です。
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リバースモーゲージのメリット
リバースモーゲージのメリットは、以下の通りです。
- 自宅に住み続けながら資金を得られる
- 高齢期でもまとまった資金や継続的な収入が得られる
- 契約期間中の返済負担が軽い
- 資金使途の自由度が高い
- 相続時の負担を軽減できる場合がある
自宅に住み続けながら資金を得られる
これはリバースモーゲージの最大の特徴であり、多くの人が魅力を感じる点です。長年住み慣れた自宅や地域には、思い出だけでなく、近所とのつながりや生活の動線といった大切な要素があります。
リバースモーゲージを利用すれば、これらの生活基盤を変えることなく、まとまった資金や毎月の生活費を得ることができます。これにより、慣れない場所への引っ越しのストレスや費用を避け、精神的な安心感を保ちながら、経済的なゆとりを持つことが可能になります。
高齢期でもまとまった資金や継続的な収入が得られる
多くの金融機関では、年齢を重ねると新たなローンを組むことが難しくなります。しかし、高齢期こそ、医療費や介護費用、バリアフリーリフォーム、あるいは趣味や旅行といった活動資金が必要になる場合があります。
リバースモーゲージは、自宅という資産を有効活用することで、退職後の限られた年金収入などを補い、これらの資金ニーズに応えることができます。一括で受け取って大きな支出に備えたり、毎月少しずつ受け取って生活費に充てたりと、資金の受け取り方も選べる場合があります。
契約期間中の返済負担が軽い
通常、借り入れをすれば元本と利息を毎月返済していく必要がありますが、リバースモーゲージの多くの商品は、契約期間中(生存中)は利息のみの支払い、あるいは支払いは一切なく、元本と利息の全額を契約終了時(主に死亡時)に一括で返済する仕組みになっています。
これにより、月々のキャッシュフローに余裕が生まれ、年金収入などの中から無理なく生活費を捻出できます。日々の生活における金銭的なプレッシャーが軽減され、ゆとりのある高齢期を送ることにつながります。
資金使途の自由度が高い
住宅ローンが住宅の購入・建築資金に限定されるのに対し、リバースモーゲージで借り入れた資金は、原則として資金使途が限定されず、比較的自由に使うことができます。これは大きなメリットです。
例えば、医療費、介護費用、自宅のリフォーム費用、老人ホームの入居一時金、旅行や趣味の費用、さらには他のローンの返済や子供への資金援助など、多様なニーズに対応できます。ただし、事業性資金や株式投資などの投機的な資金には利用できない場合が一般的ですので、契約時に確認が必要です。
相続時の負担を軽減できる場合がある
相続財産に自宅不動産が含まれる場合、相続人が複数いると、「誰が家を相続するのか」「他の相続人にはどうやって分けるのか」といった遺産分割で揉めるケースが少なくありません。
リバースモーゲージを利用して自宅を現金化しておけば、契約者の死後、その現金とその他の財産を相続人で分け合うことになります。不動産を分ける難しさが解消され、遺産分割が比較的スムーズに進む可能性があります。また、自宅の売却代金で借入金を返済するため、相続人が自己資金から多額の現金を用意して借入金を返済する、といった負担を回避できる場合もあります。
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リバースモーゲージが悲惨と言われる理由
リバースモーゲージが悲惨と言われる理由には、以下のようなものがあります。
- 長生きによる借り入れ総額の増加リスク(長寿リスク)
- 不動産価値の下落リスク
- 金利上昇リスク
- 法定相続人とのトラブルリスク
これらのリスクは相互に関連しており、特に「1」「2」「3」は借り入れ総額が担保価値を上回る「オーバーローン」状態に陥る可能性を高めます。
このため、多くの金融機関では契約にあたり推定相続人全員の同意を求めるのです。これは、担保不動産が最終的に売却され、相続できなくなること、またオーバーローン発生時に相続人が返済を求められる可能性があるためです。リバースモーゲージを利用するかどうかは、これらのリスクを踏まえた上で慎重に判断する必要があります。
ここからは、これらのリスクの詳細を解説します。
長生きによる借り入れ総額の増加リスク(長寿リスク)
現代では平均寿命が延びており、個人の正確な寿命を予測することは不可能です。リバースモーゲージは契約者が亡くなるまで資金を受け取れる(または利用できる)仕組みが一般的ですが、想定よりも長く生存した場合、借り入れ期間が長期化し、それに伴って受け取る資金の総額や、期間分の利息が当初の想定を大きく超えて増加する可能性があります。
多くのリバースモーゲージでは融資極度額(借り入れできる上限額)が設定されていますが、長生きによってこの極度額に達してしまう恐れがあります。極度額に達した後は原則としてそれ以上の借り入れはできません。さらに、借り入れ総額が自宅の評価額や最終的な売却価格を上回る「オーバーローン」状態に陥る可能性が高まります。オーバーローンが発生した場合、商品によっては相続人がその不足分を負担しなければならないケースも存在します。
長生きは本来喜ばしいことですが、リバースモーゲージにおいては資金計画が狂い、最終的に担保不動産で借入金を返しきれなくなる経済的なリスクとなり得ます。計画的な資金利用と、契約内容における融資期間の上限や極度額、オーバーローン時の対応について事前にしっかりと確認しておくことが重要です。
不動産価値の下落リスク
リバースモーゲージの融資額は、担保となる不動産の評価額に基づいて決定されます。不動産市場の変動、建物の老朽化の進行、周辺環境の変化(例えば、地方における人口減少やインフラの衰退など)によって、担保不動産の価値が下落するリスクがあります。
リバースモーゲージの契約では、定期的に(例えば数年ごとに)不動産の再評価が行われるのが一般的です。再評価によって不動産価値が下落していると判断された場合、それに伴って融資極度額が減額される可能性があります。既に融資を受けている金額が新たな極度額を上回ってしまった場合は、差額の一部または全額の返済を求められるといった事態も起こり得ます。
最終的な契約終了時に、不動産の売却価格が借入総額を下回るオーバーローンの原因ともなります。将来の不動産市場を正確に予測することは困難ですが、特に地方の物件など、価格下落リスクが高いと考えられる場合は、借り入れ額を抑えるなどの慎重な検討が必要です。
金利上昇リスク
リバースモーゲージの金利タイプは、変動金利型を採用している商品が一般的です。変動金利は市場の金利情勢によって見直されるため、金利が上昇した場合、借り入れに対する利息の負担が増加します。
契約期間中に利息のみを支払うタイプの場合、金利上昇は毎月の支払額の増加に直結します。また、死亡時一括返済のタイプの場合でも、金利上昇は借入残高(元本+利息の合計額)の増加につながり、結果としてオーバーローンになるリスクを高めます。
金利の動向は経済情勢に左右されるため予測が難しいですが、契約時には金利上昇がご自身の借入総額や返済にどのような影響を与えるのかを理解しておく必要があります。もし金利上昇リスクを避けたい場合は、固定金利型のリバースモーゲージ商品を探すか(数は少ないですが)、他の資金調達方法と比較検討することも必要です。
法定相続人とのトラブルリスク
リバースモーゲージは、契約者が亡くなった後に担保不動産を売却して借入金を返済する仕組みであるため、原則としてその不動産を相続人が相続することはできません。これは、将来自宅を相続できると考えていた相続人にとって、想定外の事態となる可能性があります。特に、契約者と同居していた相続人にとっては、住む家を失うことにもつながりかねません。
このような理由から、リバースモーゲージの契約にあたっては、多くの金融機関が推定相続人全員の同意を必須としています。しかし、自宅の売却に反対する相続人がいたり、仕組みを十分に理解せずに同意を渋ったりする場合など、相続人との間でトラブルに発展しやすい側面があります。
リバースモーゲージを検討する際は、早い段階で推定相続人に対して制度の仕組み、メリット・デメリット、そして自宅が相続できなくなることについて、丁寧に説明し、理解と納得を得ることが非常に重要です。円満な合意形成なく手続きを進めると、後々の深刻な家族間トラブルにつながるリスクがあります。
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リバースモーゲージで失敗しないための対策
リバースモーゲージで後々「失敗した」「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、契約前の段階で以下の3つの対策をしっかりと行うことが極めて重要です。
- 契約内容を徹底的に理解し、複数の商品を比較検討する
- ご家族(特に推定相続人)と十分に話し合い、理解と同意を得る
- 無理のない資金計画を立て、必要以上の借り入れをしない
契約内容を徹底的に理解し、複数の商品を比較検討する
リバースモーゲージと一口に言っても、金融機関によってその内容は大きく異なります。
契約時には、特に以下の内容について確認するようにしましょう。
- 金利タイプ(変動か固定か)と金利の見直し条件
- 融資限度額の決定方法と不動産評価の見直し頻度・条件
- オーバーローンになった場合の対応(ノンリコースかリコースか)
- 資金の受け取り方法(一括、年金形式、随時など)と受け取り期間
- 契約期間や契約終了の条件
- かかる諸費用(鑑定費用、手数料など)
これらの条件によって、将来のリスクや受け取れる資金、最終的な返済負担が大きく変わってきます。
一つの金融機関の商品だけで決めず、複数の金融機関から資料を取り寄せ、条件を比較検討し、最もご自身の状況や考えに合ったものを選ぶことが失敗を防ぐ第一歩です。分からない点は曖昧にせず、納得がいくまで担当者に質問しましょう。
ご家族(特に推定相続人)と十分に話し合い、理解と同意を得る
リバースモーゲージの利用は、将来的に自宅という相続財産がなくなること、そして契約内容によっては相続人が借入金の返済を引き継ぐ可能性があることを意味します。
このため、推定相続人にとっては非常に大きな影響があります。リバースモーゲージを検討していることを隠したり、事後報告にしたりすることは、深刻な家族トラブルの元となります。なぜリバースモーゲージを利用したいのか、そのメリットとデメリット、特に自宅が相続できなくなること、そしてオーバーローンリスクとその場合の対応について、包み隠さず正直に話し合いましょう。
ご家族全員が制度を理解し、納得と同意を得られた上で契約に進むことが、将来の無用な争いを避けるために最も重要な対策の一つです。金融機関によっては、推定相続人全員の同意書が契約の必須条件となっています。
無理のない資金計画を立て、必要以上の借り入れをしない
リバースモーゲージで借り入れた資金は何に使うのか、具体的な資金計画を立てることが大切です。例えば、毎月の生活費の補填として受け取る場合、何歳まで、いくら必要なのかを試算します。
まとまった資金として受け取る場合も、何のために使うのかを明確にします。そして、その計画に対して融資極度額や毎月の受け取り額が適切か検討します。長生きするリスクも考慮し、将来的に資金が枯渇しないか、あるいは融資極度額に達してしまい、その後の生活資金が確保できなくなるリスクはないかなどをシミュレーションしてみましょう。
必要以上の借り入れは、将来の借入総額を増加させ、オーバーローンのリスクを高めるだけです。本当に必要な資金を見積もり、計画的に借り入れ・利用することが、資金の枯渇や返済不能といった失敗を防ぐ上で不可欠です。可能であれば、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、客観的な視点での資金計画のアドバイスを受けることも有効です。
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リースバックも検討しよう
リースバックとは、ご自身がお持ちの不動産(自宅や店舗、事務所など)を一度不動産会社などに「売却」した後、その買主と賃貸借契約を結び、そのまま同じ場所を「借りて」使い続けることができる仕組みです。
リバースモーゲージとリースバックは、どちらも「自宅に住み続けながら資金を得る」ことができる仕組みとして混同されやすいですが、その根幹となる仕組みと所有権の扱いが大きく異なります。
リバースモーゲージとリースバックの違いは、以下の通りです。
比較ポイント | リースバック | リバースモーゲージ |
所有権の移転 | 契約時に買主(多くは不動産会社)へ売却し、所有権が移る。 | 契約時は所有者のまま(担保設定のみ)。**契約終了時(主に死亡時)**に売却され所有権が移る。 |
契約の性質 | 不動産売買契約 + 賃貸借契約 | 金銭消費貸借契約(融資契約) |
得られる資金 | 不動産の売却代金を一括で受け取る。 | 金融機関からの融資を、一括、年金形式、随時などで受け取る。 |
契約後の支払い | 買主(新たな所有者)へ賃料を支払う。 | 金融機関へ利息を支払う(元本は後で一括返済)。 |
契約終了後 | 賃貸借契約が終了。退去するか、再契約や買戻しを検討(保証はない場合も)。 | 契約者の死亡などにより契約終了。担保不動産を売却し、借入金を一括返済する。 |
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まとめ
リバースモーゲージは高齢期の資金確保に役立つ一方、長生きによる借入総額増加や不動産価値下落、金利上昇といったリスクが自宅喪失につながる可能性があります。「悲惨」な結果を避けるには、これらのリスクを深く理解することが不可欠です。
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