「住宅ローンが払えない…でも、この家には住み続けたい」
そんな切実な願いを叶える方法があることをご存知ですか?
競売を避けるために家を手放すことになっても、任意売却と組み合わせることで、住み慣れた自宅に住み続ける道が開けます。
この記事では、リースバックと親族間売買という2つの解決策について、その仕組みやメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
任意売却後も住み続けることができるリースバックとは?
任意売却は、住宅ローンの滞納が続いた際に、金融機関(債権者)の合意を得て不動産を売却する方法です。市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、競売よりも経済的な負担を軽減できる場合があります。
一方、リースバックは、自宅を任意売却した後、新しい所有者と賃貸契約を結び、賃借人としてそのまま住み続けることができる仕組みです。任意売却とリースバックを組み合わせることで、「住み慣れた家を手放したくない」「引越しによる精神的・ 経済的な負担を避けたい」というニーズに応えることができます。
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任意売却とリースバックの流れ
一般的な任意売却とは異なり、リースバックを併用する場合は、売却先が個人の買主ではなく、リースバックを専門とする会社や不動産投資家になります。
任意売却とリースバックは、以下の流れで行うのが一般的です。
- 専門の不動産会社に相談
任意売却とリースバックの両方に精通した不動産会社に相談し、状況を説明します。 - リースバック会社・投資家の選定
不動産会社が、条件に合うリースバック会社や投資家を探します。 - 売却価格と賃料の交渉
リースバック会社・投資家と、不動産の売却価格と家賃について交渉します。 - 債権者との売却価格交渉
交渉した売却価格について、金融機関(債権者)の同意を得ます。 - 契約締結
売買契約と建物賃貸借契約を締結します。 - 売却・入居
不動産の所有権は移転しますが、あなたは賃借人としてそのまま住み続けることができます。
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リースバックを検討する際の3つの注意点
リースバックは、任意売却後も住み続けられるという大きなメリットがある一方で、注意すべき点もいくつか存在します。
① リースバックはハードルが高い
リースバックは、債権者、売主、リースバックの三者の立場から見る目的が存在するため、成立させるのが難しいのが現状です。それぞれの立場から、なぜリースバックはハードルが高いと言えるのかを具体的に見ていきましょう。
1. 債権者(金融機関など)の立場:少しでも高い価格で売却したい
債権者である金融機関や保証会社は、住宅ローンという債権を回収することを最大の目的としています。任意売却は、競売よりも市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、債権回収額を最大化するための有効な手段です。
リースバックを前提とした場合、売却先は一般の買主ではなく、リースバック会社や投資家になります。これらの業者は、将来的な賃料収入や不動産の価値上昇を見込んで物件を購入するため、「投資として成立する価格」 での購入を希望します。
必ずしも市場価格の上限で買い取ってくれるとは限らず、場合によっては市場価格よりも低い価格での交渉となる可能性があります。債権者としては、少しでも多くの債権を回収したいという意向があるため、売却価格が低すぎる場合はリースバックに同意しない ことがあります。
また、債権者は売却後の賃料設定には直接的な関与はしませんが、売却価格が低すぎると、結果的に債権回収額が減ってしまうため、リースバック会社との価格交渉が難航する要因となります。
2. 売主(元所有者)の立場:できる限り低い家賃で住み続けたい
住宅ローンの返済が困難になり、任意売却を検討せざるを得なくなった売主(元所有者)にとって、リースバックの最大のメリットは「住み慣れた家にそのまま住み続けられる」ことです。しかし、そのためには毎月の家賃を支払う必要があります。
当然ながら、売主としては、その家賃負担をできる限り抑えたいと考えます。しかし、通常リースバックでは、家賃が相場より割高になるのが一般的です。
また、リースバック会社との賃貸借契約の内容(契約期間、更新の可否、賃料の改定ルールなど)も、将来の生活設計に大きく影響するため、慎重に交渉する必要があります。経済状況が厳しい中で、高すぎる家賃設定は生活を圧迫する ため、売主にとって、無理のない家賃で住み続けられる条件を引き出すことは大きな課題となります。
3. リースバック会社・投資家の立場:投資として成立する収益性(利回り)を確保したい
リースバック会社や不動産投資家は、購入した不動産を賃貸に出すことで収益を得ることを目的としています。彼らが最も重視するのは、投資額(購入価格)に対する賃料収入の割合、つまり「利回り」 です。
高い価格で購入してしまうと、相場に見合った賃料を設定しても利回りが低くなり、投資としての魅力が薄れてしまいます。そのため、リースバック会社は、将来的な賃料収入や不動産の価値変動を予測し、「適正な利回りを確保できる価格」 での購入を希望します。
また、リースバック会社は、物件の管理・運営コスト、空室リスクなども考慮に入れる必要があります。売主が希望する低い家賃では、これらのコストを回収し、十分な利益を確保することが難しくなるため、売主の希望通りの低い家賃で借りることは難しい のが現実です。
さらに、リースバック会社は、将来的な再販の可能性も視野に入れています。そのため、再販しやすい物件であるか、将来的な価値が見込めるか なども購入の判断材料となります。
上記のように、債権者は「高く売りたい」、売主は「安く住み続けたい」、リースバック会社は「収益を確保したい」という、それぞれ異なる目的を持っています。これらの思惑を調整し、すべての関係者が納得できる落としどころを見つけるのは、非常に困難な交渉となります。
② 将来的な買い戻しは困難である可能性が高い
リースバック契約において、将来的に物件を買い戻すための条項(買戻し特約)を盛り込むことは、理論上は可能です。しかし、現実的にその買い戻しが実現するケースは非常に少ないのが実情です。その背景には、以下のようないくつかの要因が複雑に絡み合っています。
1. 任意売却後の経済状況の厳しさ
任意売却を選択する多くの場合、住宅ローンの返済が滞り、経済的に困窮している状況です。任意売却によって住宅ローン残債の一部は解消されるものの、全額がなくなるわけではありません。多くの場合、依然として多額の借金(無担保ローン)が残ります。
このような状況下で、短期間のうちに経済状況が劇的に改善し、再び不動産を購入できるほどの資金を準備するのは非常に困難です。たとえ数年後に経済状況が回復したとしても、その間に他の生活費や予期せぬ支出が発生する可能性も考慮しなければなりません。
2. リースバック会社の利益構造
リースバック会社は、不動産を安く購入し、賃料収入を得ることで利益を上げています。また、将来的な不動産の価値上昇を見込んで投資している側面もあります。
そのため、買い戻し条項が設定されたとしても、リースバック会社は原則として「売却時よりも高い価格」でしか買い戻しに応じません。
なぜなら、リースバック会社も事業として運営しているため、利益を確保する必要があります。売却価格と同額、あるいはそれ以下の価格で買い戻しに応じてしまうと、利益はおろか損失が生じてしまいます。
また、リースバック期間中の物件の維持管理にはコストがかかっており、それらも買い戻し価格に反映されます。
つまり、買い戻し価格は、当初の売却価格に、リースバック会社の利益や管理コストなどが上乗せされた金額となるのです。
3. 再度住宅ローンを組むことの難しさ
任意売却後、自己破産などの法的手続きを取らなかったとしても、住宅ローンを滞納した時点で信用情報機関には、金融事故として情報が登録されます。この情報は一定期間(一般的に5年~10年程度)記録され、その間は新たな住宅ローンを組むことが非常に難しくなります。
4. 買い戻し条項の条件と期間
リースバック契約に買い戻し条項を設ける場合でも、その条件や期間は厳しく設定されることがあります。
以下がリースバックが買戻しの条件とする主な事項です。
- 買い戻し期間の制限
買い戻しが可能な期間が数年以内など、限定される場合があります。 - 買い戻し価格の決定方法
買い戻し時の市場価格を基準とするなど、具体的な価格決定方法が定められることが多いです。当初の売却価格に一定の利率を上乗せされます。 - 買い戻し時の審査
リースバック会社による買い戻し希望者の経済状況の審査が行われることがあります。
これらの条件を満たすことができなければ、買い戻し条項があってもその権利を行使することはできません。
そのため、リースバック契約時に買い戻し条項を設けたとしても、実際に買い戻しが実現する可能性は低いと言わざるを得ません。
③ 家賃は高めに設定される
リースバック会社や不動産投資家は、物件を購入し、それを賃貸することで収益を得ています。彼らが投資判断を行う上で最も重視する指標の一つが「利回り」です。利回りとは、投資した金額(この場合は購入価格)に対して、年間でどれくらいの収益が得られるかの割合を示すものです。
計算式は以下のようになります。
年間賃料収入 ÷ 物件購入価格 × 100 = 利回り(%)
リースバック会社は、この利回りが一定の水準(目安は最低10%)以上でなければ、投資として魅力を感じません。なぜなら、物件の管理費、固定資産税、修繕費、空室リスクなどを考慮すると、低い利回りでは十分な利益を確保できない可能性があるからです。
上記の利回りの計算式からもわかるように、売却価格が高くなれば、同じ利回りを確保するためには年間賃料収入も高く設定する必要 があります。逆に、売却価格が低ければ、比較的低い年間賃料でも一定の利回りを確保できます。
例えば、目標とする利回りが10%の場合:
- 売却価格1,500万円の場合
- 年間賃料収入 = 1,500万円 × 10% = 150万円
- 月額家賃 = 150万円 ÷ 12ヶ月 = 12.5万円
- 売却価格1,000万円の場合
- 年間賃料収入 = 1,000万円 × 10% = 100万円
- 月額家賃 = 100万円 ÷ 12ヶ月 = 約8.3万円
このように、売却価格が500万円異なるだけで、月々の家賃に大きな差が生じます。
売却価格が高くなれば、当然家賃も高くなる傾向があります。無理のない家賃で住み続けるためには、売却価格とのバランスを慎重に検討する必要があります。
④ 建物賃貸借契約の種類を必ず確認する
リースバックで結ばれる建物賃貸借契約には、主に「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。それぞれの特徴を理解しておくことは非常に重要です。
項目 | 普通借家契約 | 定期借家契約 |
契約期間 | 原則2年以上(短期の場合は期間の定めのない契約とみなされる) | 当事者間の合意により自由に設定可能 |
契約更新 | 原則あり(貸主に正当な事由がない限り更新される) | 原則なし(期間満了で終了。継続には再契約が必要) |
借主からの解約 | 契約書に定められた予告期間をもって解約可能 | 原則として契約期間中の解約は不可(例外あり、違約金が発生する場合も) |
賃料 | 定期借家契約と比較してやや高めに設定される可能性 | 契約期間に応じて比較的安めに設定されることが多い |
こんな方におすすめ | 長く住み続けたい方 | 一定期間のみ住む予定の方、賃料を抑えたい方 |
リースバックの注意点 | 賃料がやや高めになる可能性、契約内容の確認が必要 | 再契約が保証されない、契約期間中の解約が難しい、将来設計を考慮する必要がある |
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任意売却後も住み続けることができる親族間売買とは?
親族間売買とは、文字通り、親族間で不動産を売買する行為を指します。通常の市場での売買と大きく異なるのは、買い手が血縁の濃い親族(例えば、お子様など)である点です。
住宅ローンの返済が困難になった際、任意売却という手段を選ぶことがあります。その上で、「できれば今の家に住み続けたい」という願いを叶える方法が、「親族間売買」なのです。
親族間売買には、以下のようなメリットがあります。
- 買主探しの手間が不要
親族が買主となるため、買い手を探す時間と労力を大幅に削減でき、スムーズな売却が可能です。 - 売却条件を柔軟に調整可能
親族間の関係性から、売買価格、引き渡し時期、手付金などの条件について、お互いの状況や希望を考慮して柔軟に話し合い、妥協点を見つけやすいです。 - 特定の相手に不動産を引き継げる:
親族という関係性により、売却後も売主が不動産に関わったり、希望する用途(二世帯住宅、事業承継など)で活用されたりする可能性が高まります。
親族間売買の流れ
任意売却と親族間売買を同時に進める場合、一般的な売却の流れとは異なる点がいくつかあります。
- 専門の不動産会社への相談:
親族間売買に精通した不動産会社に相談し、状況を共有します。 - 債権者との価格交渉:
金融機関(債権者)に対し、親族への売却希望と適正な売却価格について交渉を行います。 - 親族(買主候補)との協議と予算共有:
購入者となる親族と、購入の意思、資金計画(自己資金や住宅ローンの見込み額)について十分に話し合います。 - 親族の住宅ローン事前審査:
親族が住宅ローンを利用する場合、事前に融資の可能性を探るため、金融機関に事前審査を申し込みます。 - 親族の住宅ローン本審査:
事前審査通過後、正式な住宅ローン審査を受けます。 - 融資決定:
金融機関から融資の内諾を得ます。 - 売買契約の締結と決済:
親族間で不動産の売買契約を結び、代金の決済を行います。
親族間売買では、債権者との売却価格に関する交渉と親族の住宅ローン審査の結果が重要なポイントとなります。
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親族間売買における3つの注意点
親族間売買は、通常の第三者間の不動産売買と比較して、金融機関からの住宅ローン審査が格段に厳しくなる傾向があります。これは、金融機関が親族間の取引特有のリスクを懸念しているためです。具体的にどのような点が警戒され、審査が厳しくなるのかを掘り下げて見ていきましょう。
1. 資産隠しや債務逃れを疑われることがある
金融機関は、親族間売買が、住宅ローンの返済が滞っている売主(例えば、任意売却を検討しているケースなど)が、差し押さえを逃れるために意図的に資産を親族に移転する手段として利用されるのではないかと警戒します。
例えば、実質的な売買行為がなく、名義だけを親族に変更し、実際には売主が住み続けるといったケースが考えられます。このような場合、金融機関は債権回収が困難になるリスクを負います。
また、市場価格よりも極端に低い価格で親族に売却することで、債権者から「資産隠し」と見なされて、「詐害行為取消権」で訴えられ、家の名義が戻されてしまうことがあります。
2.適正な売買価格の設定が必要
親族間、特に親子間や夫婦間などでは、不動産の移転は贈与や相続といった形で行われるのが一般的です。あえて売買という形を取る場合、金融機関は贈与税を回避する目的があるのではないかと疑念を抱きます。
売買価格が明らかに市場価格よりも低い場合、その差額が実質的な贈与とみなされる可能性があります。金融機関は、このような取引に関与することで、後々税務上のトラブルに巻き込まれるリスクを避けたいと考えます。
また、買主である親族に十分な収入や資産がないにもかかわらず、高額な不動産を購入する場合、その資金源が不透明であるとして、贈与を疑われることがあります。
3. 関係性の複雑さによるリスク
親族間売買は、購入者となる親族の全面的な協力が不可欠です。特に親子間で売買する場合、長期にわたるローンでの住宅購入は子世代にとって経済的に大きな決断です。
例えば、親族間の情に流され、十分な返済能力がないにもかかわらず融資を申し込むケースも考えられます。
親族の経済状況や将来設計を十分に考慮し、無理のない範囲での協力を仰ぐことが重要です。
また、親族関係が悪化した際に、ローンの返済が滞ったり、不動産の権利関係で争いが生じたりするリスクもありますので、十分な注意が必要です。
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まとめ
リースバックや親族間売買は、専門家のサポートを受けながら、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自身の状況に合わせて慎重に検討することが重要です。
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